【追憶 江川卓〈11〉】女性誌が大特集「江川卓くんが大切にするガールフレンド!」

夏が来れば思い出す、江川卓の群像劇です。ごく一般的な高校生の恋愛事情として…普遍性をもった、微笑ましい告白をどうぞ。全15回です。(2017年4月15日掲載。所属、年齢などは当時。文中敬称略)

高校野球

ファンに囲まれ投球練習。誰からも愛された=1973年7月

ファンに囲まれ投球練習。誰からも愛された=1973年7月

★男性ファンだけじゃない ミカン1箱分

インタビューも終盤に入った頃、江川に高校時代の“恋バナ”を振ってみた。

「今みたいに、携帯があるわけじゃないからね。でも、野球と勉強の間で、ほのかな恋心があった。別にお付き合いするわけじゃないんだけど。オレの場合、文通だから…」と、江川なりの交際の「ツール」を、告白した。

センバツでの全国デビュー後、その周辺にはマスコミが大挙押しかけ、激烈な取材合戦が繰り広げられた。江川ネタは、スポーツマスコミばかりか、女性週刊誌にも取り上げられた。

それ以前の「コーちゃん」(三沢・太田幸司)や、それ以降の「大ちゃん」(早実・荒木大輔)ブームのように「甲子園アイドル」とは別路線とも見られがちだが、江川には女性ファンも多かった。

小山の実家には毎月、ミカン箱1箱分のファンレターやプレゼントが届けられ、宛名の当人はそうした手紙にすべて目を通した。甘言だけではなく、苦言、箴言(しんげん)にも謙虚に耳を傾けた。

★小柳ルミ子似

当時の女性週刊誌の1つ、「ヤングレディ」(講談社、87年廃刊)73年(昭48)8月13日号には「男性が熱狂する“怪物高校生”! 江川卓くんがいま、いちばん大切にしているガールフレンド!」という3ページに及ぶ記事が、掲載された。

1955年(昭30)、和歌山県生まれ。早大卒。
83年日刊スポーツ新聞社入社。巨人担当で江川番を務め、その後横浜大洋(現DeNA)、遊軍を経て再び巨人担当、野球デスクと15年以上プロ野球を取材。20年に退社し、現在はフリー。
自慢は87年王巨人の初V、94年長嶋巨人の「10・8最終決戦」を番記者として体験したこと。江川卓著「たかが江川 されど江川」(新潮社刊)で共著の1人。