日本酒の次は女子のためにドーム球場づくり? 平成国際大と加須のシアワセな絆/後編

平成国際大女子硬式野球部の選手たちが、地元の農家や酒蔵と一緒に純米大吟醸「明軽(めいけい)」を生み出した。仕掛け人は濱本光治監督(67)。女子硬式野球を最前線で引っ張り続けている名物監督だ。地域との結びつきを強くしていくことが女子硬式野球の発展にもつながると考え、日本酒づくりにたどりついた。

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女子野球タウン認定第1号

「ここですね」

濱本光治監督が連れていってくれたのは、加須市役所の近くにある古民家を改築した料理屋だった。

「うどん、釜飯、長谷川」の店内(撮影・沢田啓太郎)

「うどん、釜飯、長谷川」の店内(撮影・沢田啓太郎)

「うどん、釜めし、長谷川」

夜は居酒屋となり、地元の酒好きが集まる。

新型コロナによる緊急事態宣言がいったん解除された3年前、濱本監督は久しぶりにここでお酒を飲んでいた。ふと、棚にある「加須の舞」という日本酒に目が行った。店主の話だと、最近になってつくられ始めた加須産の山田錦を使い、古くから地元に根付いた蔵元がつくった純米大吟醸という。

「これだ! と思いました。前々から地域と一緒に何かできないかと考えていましたが、地元でつくったお米を地元でお酒にして売り出し、それを私たちがお手伝いする。うちの野球部は全国から学生が集まっているので、在学中に地域との思い出もつくらせてあげたい。日本人としてお米の大切さも実感できるし、いい社会勉強になる」

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1988年入社。プロ野球を中心に取材し、東京時代の日本ハム、最後の横浜大洋(現DeNA)、長嶋巨人を担当。今年4月、20年ぶりに現場記者に戻り、野球に限らず幅広く取材中。