【消えた天才】西武・岸潤一郎 拓大中退「空白の4カ月」に1人、足繁く通った先は…
今年の夏の甲子園も、高校球児たちが華々しく活躍しました。しかし彼ら全員が今後、華々しい野球人生を送れるかというと、それはおそらくまた別の話。明徳義塾(高知)で4度甲子園出場した西武岸潤一郎外野手(26)も“別の話”の1人です。大学を中退し「消えた天才」とも言われた彼の、空白の時間とは。6年たった今、あえて振り返ってもらいました。
プロ野球
◆岸潤一郎(きし・じゅんいちろう)1996年(平8)12月8日、兵庫・尼崎市生まれ。難波小3年から軟式野球チーム「盛徳イーグルス」で外野手として野球を始め、尼崎中央中では「西淀ボーイズ」に所属。明徳義塾では1年春からベンチ入りし、春夏4度の甲子園出場。3年時には「エース兼4番兼主将」として投打で活躍し。スカウトからの注目も集めた。高校日本代表にも選出され、U18アジア選手権に出場した。拓大を中退後、四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスを経て、19年ドラフト8位で西武に入団。21年は100試合に出場し、9本塁打。昨季は45試合の出場で2本塁打。174センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1450万円。
ドラ7上間からの徳島、徳島
19年10月17日、徳島・藍住町。ゆめタウン徳島の一室で、岸潤一郎は鼓動を早めていた。プロ野球ドラフト会議。徳島インディゴソックスのドラフト候補生として、NPBからの指名を待った。仲間とともに、覚悟とともに。
「独立リーグでの野球は2年間と決めてました。もしあの日ドラフトにかからなかったら、そこで野球辞めるつもりでした」
テレビでは佐々木朗希や奥川恭伸の抽選の様子が映される。でもリラックス。
「1位とか2位とか関係ないし。1位2位がないのは100%分かってたんで。西武(の指名順)は(宮川)哲さん、ハマちゃん(浜屋)、柘植、井上みたいな感じだったかな」
少しずつ高まる緊張。7位でチームメートの上間永遠投手が指名された。しかも西武から。笑ってはいた。でも満面に笑み、という感じではない。
「もちろん『おめでとう』なんすよ。でも7位が上間やったんで、支配下で徳島、徳島ってなるイメージが全然なくて。僕自身、育成でもいいから、という気持ちはありましたけど」
だから、自分の名前が呼ばれた時は驚いた。
「第8巡選択希望選手 埼玉西武 岸潤一郎 外野手 徳島インディゴソックス」
西武新入団選手たちは辻発彦監督(後方中央)を囲んだ記念撮影で笑顔。前列左から柘植世那、松岡洸希、宮川哲、浜屋将太、川野涼多、後列左から出井敏博、上間永遠、1人おいて井上広輝、岸潤一郎=2019年12月
総毛立つ。冷静なように頭を下げる。上間らとともに、ファンによるパブリック・ビューイング会場へ向かった。「本当にたくさんの人がいてくれて」。おめでとう、おめでとうの嵐。ファンの方々、どんな表情でしたか?
「人の顔なんか見れないくらいですよ。こっちも興奮してたので」
「野球部辞める=大学辞める」
再び脚光を浴びたあの日を忘れない。高校時代、明徳義塾で活躍。甲子園のスター選手となった岸は、一度野球を辞めている。
高校を卒業し、大学に進んだ。在学中に右肘のトミー・ジョン手術を行い、完治せぬまま大学を去った。それが原因なのか。
「ぜ~んぜん関係ないっすね。一切、関係ないっすね」
食い気味に答える。「うーん、別にな~…」。歯切れが悪い。退部理由。
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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。
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