【宮崎南郷・後編】山川穂高と12分半の対峙…息遣いまで伝わるFA取材/連載〈7〉

旅が好きです。日本の全市区町村の97・2%を踏破済みです。その遍歴は取材を担当する西武関係者に興奮されたり、どん引きされたり。かけ算の世の中、野球×旅。お気楽に不定期で旅します。題して「野球と旅をこじつける」。第7回は宮崎県日南市、南郷。知られざる絶景地で心を整え、渦中にある山川穂高内野手(32)との1対1に向かいました。

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▼「野球と旅をこじつける」▼

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犠飛を放ってベンチ前でチームメートとタッチ

犠飛を放ってベンチ前でチームメートとタッチ

フェニックス最終打席「笑顔」の理由

日南を出て、宿をとっている宮崎市へ戻る。内陸に高速道路ができて、所要時間はかなり短くなった。

でもあえて時間のかかる日向灘沿いを走る。窓は全開、深呼吸。カロリーは相当消費した。コンビニで買った南九州名物「ジャムモナカ」をかじり、1時間前の対峙(たいじ)を思いながら、ふぅと息を吐く。

南郷スタジアム近くにある海を望む坂道

南郷スタジアム近くにある海を望む坂道

誰の目にも触れない場所に山川穂高がやって来た。何も持たず、こちらだけを見て近づいてくる。

「お疲れさまでした」

「お疲れさまでした」

もし自分が選手側だったら、と想像すれば分かる。何人もの記者に囲まれ、本心中の本心を話せる人などそうはいない。

1対1の空間。FA権を行使するのかしないのか。自身の不祥事もあって異例のFA権取得となった山川の決断を報じるまでの、おそらくこれが唯一の“サシ”のチャンスになる。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。