【惜別】現役ドラフト西武→ロッテ 愛斗から、タオルを掲げて応援してくれた皆さんへ

昨年から始まった現役ドラフトが、今年も12月8日に行われました。西武からは愛斗外野手(26)がロッテに移籍します。球界屈指の右翼守備を誇る男は、もの静かながら思いは強く、熱く。8年間過ごした西武に、ファンに今、何を思うのでしょうか。移籍決定直後、あふれ出す言葉の数々をお届けします。

プロ野球

◆愛斗(本名・武田愛斗=たけだ・あいと)1997年(平9)4月6日、大阪府生まれ。小2年から「浜寺ボーイズ小学部」で野球を始める。花咲徳栄では1年秋からベンチ入りし、2年春にレギュラー。3年夏に甲子園に3試合で4番中堅手で出場。初戦でのランニング本塁打など14打数7安打1本塁打で8強入りに貢献した。15年ドラフト4位で西武に入団。17年6月16日の中日戦でプロ初出場を果たす。プロ5年目の21年に出場機会を伸ばし、97試合で打率2割1分9厘、8本塁打、39打点。昨季は規定打席には届かなかったが、ほぼレギュラーとして121試合で打率2割4分3厘、9本塁打、28打点。今季は開幕戦のオリックス戦で球団通算9500号となるメモリアルアーチを放った。73試合の出場で打率2割1分4厘、4本塁打、15打点。プロ通算351試合で打率2割2分、21本塁打、88打点。177センチ、92キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸3300万円。

源田をうならせる右翼守備

愛斗が西武のユニホームを着て右翼守備につくことはおそらく、もうない。

「寂しいですね。怖い…のも正直、少しありますね。新しいところに行くことも、うまくやっていけるかなっていうのも」

ベルーナドームの右翼でいつも輝いた。居場所だった。2・0の視力で打者を眺めてきた。

「スイングを見ればだいたい打球方向、分かります。なんて言うんですかね、守備で大事なのは集中して見ないこと。動けなくなっちゃうので。なんとなくボヤ~って見る感じで」

あの源田壮亮内野手(30)に「届かなくてポテンになっても、最後まで全力でボールを追うし、みんなが納得する」と言わせるだけの、球界屈指の右翼守備を誇る。

そんな愛斗は守備につこうとライトに走って行く景色も好きだった。

ベルーナドームでは西武ファンは左翼席に陣取る。

「でも僕のファンの人たちって、けっこうライトスタンドにいてくれてるんですよ。僕の名前のタオルを掲げてくれて。そこに向かって走って行くんです」

だから寂しさも募る。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。