【金子真仁・宮古島編】平良海馬のド直球「なんにもないです」の贅沢/連載〈11〉

旅が好きです。私事ですが日本の全自治体(全市町村+東京23区)の踏破率が0・1%増え、97・3%になりました。年明け早々、西武担当の〝卒業旅行〟気分で訪れたのは人生で初めましての沖縄県宮古島市。暖かい宮古島でのんびりした「野球と旅をこじつける。」の第11回です。

プロ野球

■3泊4日の30分くらいは

全日空機が大きく右へ旋回した。翼の青色が、海の澄んだ青や大地の緑とほどよく調和する。「平たい島だな」と思った。

眼下に球場があって、塁間でキャッチボールしているような配列がある。「野球」の2文字を一切頭から消して、ひたすら充電に徹したかった宮古島。のっけから野球が目に入って、物事そううまくはいかないもんだとかみしめる。

だからこそ、オンとオフをきっちりと。島内で一番大きな野球場へ向かう。3泊4日の30分間くらいは、野球と旅をこじつける。

駐車場に車を止めた。たまたま、早々に会えた。逆光の向こうからやって来る大きなシルエットが2つ。2人の顔がはっきりと見える前から、2人はこちらへ会釈をくれた。

長い髪のシルエットの主は西武のエース、高橋光成投手(26)。1月、宮古島で自主トレを行っている。「今日はどこ行くんですか?」と聞かれる。懸命に鍛えている現場にレジャーで訪れて、なんか少し申し訳ない。隣ではエースとほとんど同じ体格の渡辺勇太朗投手(23)も笑う。

まだ練習の最中。平井克典投手(32)や与座海人投手(28)、羽田慎之介投手(20)ともごくごく簡単なあいさつを交わす。

取材に来たわけではないし、する気もない。客観的事実だけなら、ただの寄り道。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。