「根拠のない自信を持とう」 中井亜美が中庭健介コーチからかけられた言葉の真意

フィギュアスケート女子の中井亜美(16=TOKIOインカラミ)が、3季連続のジュニアグランプリ(GP)ファイナルに臨みます。

11月中旬の全日本ジュニア選手権ではショートプログラム(SP)5位、フリー8位となり、合計180・83点で4位。4連覇した島田麻央を含む上位8位以内に入り、2年ぶりに全日本選手権への切符をつかみました。

昨年11月の同大会では、腰痛の影響も重なって10位。今年もその苦い記憶がよぎりましたが、中庭健介コーチ(43)からは「根拠のない自信を持とう」と声をかけられていました。その声かけの真意に迫りながら、26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のプレシーズンを歩む姿を描きます。(敬称略)

フィギュア

全日本ジュニア選手権女子SPで演技をする中井亜美(撮影・加藤孝規)

全日本ジュニア選手権女子SPで演技をする中井亜美(撮影・加藤孝規)

よぎった1年前の記憶「6分間練習の前まで不安で」

珍しく足が震えていた。

SPに臨む前の中井は、1年前の苦い記憶を思い返していた。

「すごく不安だったり、緊張があったり。6分間練習の前まで不安が残っていて」

昨年11月の全日本ジュニアでは大会前に発症した腰痛が響き、合計160・89点で10位にとどまった。22年に4位と躍進した全日本選手権へも、進むことがかなわなかった。

ジュニアGPファイナルの公式練習に臨む中井。後方右は中庭コーチ、同左は中田コーチ(2023年12月8日撮影)

ジュニアGPファイナルの公式練習に臨む中井。後方右は中庭コーチ、同左は中田コーチ(2023年12月8日撮影)

1年ぶりに同じ舞台に立ち、その過去がよみがえっていた。加えて、右足首の状態が思わしくなかったことも不安を増長させた。

その緊張をほぐすように、コーチの中庭からは1つの言葉を授けられていた。

「この2日間は根拠のない自信を持とう」

たとえジャンプが乱れようとも、「次はできる」「本番はできる」とポジティブな姿勢を崩さないように心に留めていた。

リンクサイドで見守る中庭にも、狙いがあった。

「根拠のない自信を持とう」の真意

中庭の眼にも、大会数日前から緊張する様子が見て取れた。

「これだけいろいろな舞台を経験している選手ではありますが、久々に緊張感が出ているようでした。練習の時から、ちょっと怖がっているようにも見えました」

そこであえて、現地入り後は「根拠のない自信を持とう」と語りかけた。

「去年はとてもつらい全日本ジュニアだったので、怖さはどうしても出ます。それが襲ってきた時には、食い気味に『何があってもできそうな気がする』と。そういう意味の言葉でした」

ただそれは、単に緊張を和らげることだけを意図していたわけではない。

同時にこうも声をかけた。

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。