寺本明日香さんが語る坂本花織の魅力、五輪出場枠獲得の重みと尊さ/インタビュー

体操女子で五輪2大会出場の寺本明日香さん(29=至学館大体操部女子監督)がこのほど、単独インタビューに応じました。

22年に現役引退後は至学館大学助教を務め、3月22、23日には「寺本明日香カップ」を開催。体操競技の普及に努めています。そんな中、22年からは趣味でフィギュアを始め、今年2月に愛知選手権ブロンズIに出場。フリー17・41点で出場2人中1位となり、大きな話題となりました。インタビューではスケートの魅力、大会へ出場した反響、交友のある坂本花織とのエピソードなどを語り尽くしました。

世界選手権は27日(日本時間)から競技開始。体操団体の五輪出場枠獲得に3度貢献した実体験を交えながら、26年ミラノ・コルティナ五輪の枠取りに挑む日本代表へエールを送りました。

フィギュア

◆寺本明日香(てらもと・あすか)1995年(平7)11月19日生まれ、愛知・小牧市出身。名経大市邨高―中京大。小1で競技開始。12年ロンドン五輪は団体総合8位入賞、個人総合11位。13年W杯東京大会で日本女子初の個人総合優勝。16年リオデジャネイロ五輪は団体総合4位、個人総合で日本女子52年ぶりの入賞となる8位。18年4月からミキハウス入社。21年東京五輪は補欠。22年4月の全日本選手権をもって現役引退。同9月に至学館大体操部女子監督に就任。23年4月に健康科学部助教に就任。24年から2年連続で体操大会「寺本明日香カップ」を開催。現役時代には床で羽生結弦がフリーで滑った「Origin」を使用したこともある。同学年の大庭雅は中京大の同期。身長142センチ。血液型O。

フィギュアの魅力は「成長を感じられる瞬間がたくさんある」

―愛知選手権に出場した反響はいかがでしたか

ビックリしているというのが一番です。ジャンプは1回転しか跳べないので、エントリー発表後に反響をいただいた時には「いやいやいや、ちょっと、ちょっと…」という感じでした(笑い)。でもあらためて思ったのは、スポーツをする人にはそれぞれに目標があるということです。トップになりたい人、全国大会に行きたい人、部活として最後までやり遂げたい人、スポーツを楽しんでやっている人。人によって目的は分かれると思いますが、スポーツをやっている方々には「楽しむ」という感覚でやっている人も多いと思っていて、そういう意味では「こういう風に楽しんでもいいんだ」という姿をお見せできたのかなと思っています。

フィギュアスケートの愛知県選手権で、演技する寺本明日香さん(共同)=2025年2月21日撮影、名古屋市ガイシプラザ

フィギュアスケートの愛知県選手権で、演技する寺本明日香さん(共同)=2025年2月21日撮影、名古屋市ガイシプラザ

―「楽しんでもいいんだ」という声は、大会後に寺本さんのもとへも届きましたか

そうですね。キックボクシングをやっている方から「大会に出ようか迷っていたけど、(寺本さんの)記事を見て大会に出ようと思いました」という声をいただきました。大会に出ることを1つとっても、人によっては「自分はこのくらいのレベルだから、大きな大会に出るのはちょっと恥ずかしいな」「私が出ていいのかな」という気持ちがあると思うんです。私もそうでした。私はとりあえず「出ちゃえ!」と、ポチっと応募のボタンを落しちゃうような人間なんですけど、大会へ出ること自体には壁があると思います。ゴルフコンペでも、人によっては「120以下くらいのスコアで回らないと周りに迷惑をかけてしまうな」といった心情があると思います。でも「100を切らなくても大丈夫だよ!」みたいな一言があるだけで、きっと大会やコンペにも出やすいはず。私の大会への出場も、1つの勇気になったのかなと思います。先日「寺本明日香カップ」を実施しましたが、それも同じで「スポーツを楽しむ」という思いがあります。

―あらためてフィギュアに触れるようになった時期や経緯を教えてください

現役のころからずっとフィギュアは見ていました。22年4月に現役を終えてからは「リンクに行きたいな」という思いがあって、半年に1、2回くらいフィギュアの友達と行ってみたりもしました。当初は貸靴でやっていましたが、23年11月くらいにメルカリで靴を買って、両足でスピンを回り始めました。24年の年明けにスケート靴ブランドの「Tobiha」さんに提供していただいて、それからジャンプの練習を始めました。

―フィギュアのどのような点に惹かれて、競技へのめり込んでいきましたか

体操は歩くという動作はあるんですけど、スケートは滑るという動作の中にスリーターンやロッカー、バッククロスやフォアクロスがある。人には歩けるようになって、走れるようになって、スキップができるようになる…といったような成長過程がありますよね。フィギュアも同じように、前向きで滑れるようになって、後ろ向きで滑れるようになって、クロスで滑れるようになって、スリーターンでできるようになって…と過程があって、それが赤ちゃんから大きくなっていく過程と似ているなと感じたからです。ちょっとずつできることが増えて、「前はこれだけしかできなかったけどスピードがついてきた」というのが実感できる。成長を感じられる瞬間がたくさんあるから、スケートは面白いなと思います。仮にダブルアクセル(2回転半)を跳べなくても、演技をつくることができる点もいいなと思います。

フィギュアスケートの愛知県選手権で、演技する寺本明日香さん(共同)=2025年2月21日撮影、名古屋市ガイシプラザ

フィギュアスケートの愛知県選手権で、演技する寺本明日香さん(共同)=2025年2月21日撮影、名古屋市ガイシプラザ

坂本との衣装選び「明日香ちゃんも五輪選手やで!」

―ここからは世界選手権についてお伺いします。寺本さんが注目している選手やポイントはありますか

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。