【樋口新葉の言葉】復帰後に感じた心の変化 ハリネズミの「とげ」はしまったままに

【ボストン=松本航、藤塚大輔】3季ぶり出場で6位となった樋口新葉(24=ノエビア)が、フリーから一夜明けて取材に対応。あらためて今大会を振り返りつつ、競技会へ復帰してからの2年間で感じた心境の変化や来季へかける思いなどを語りました。

前日練習からSP、フリー、一夜明けまでの現地取材メディア限定のやりとりを「樋口新葉の言葉」として、お届けします。

フィギュア

<世界選手権>◇29日(日本時間30日)◇米ボストン◇女子フリー一夜明け

一夜明け取材でポーズをとる樋口新葉(以下、撮影はすべて藤塚大輔)

一夜明け取材でポーズをとる樋口新葉(以下、撮影はすべて藤塚大輔)

「全日本まで全力で」

一夜明け会見にて

―具体的な目標を置かないで目の前のことをやっていると。何ができたら自分の中では満足というか、やめても良いという感情になるのでしょうか

なんかやめたことがないので、やめる時の気持ちが分からないんですけど。でも120%満足して終われたらいいなって思うけど、それって本当にすごい少ないと思うので。自分の中でどっかしらで気持ちに整理をつけないといけないと思うんですけど。来シーズンも今シーズンみたいにいくつか目標立てて。そこを達成できたりとか。練習でもまだもうちょっとできる部分っていうのがきっとあって。で、そこですね。本当にそこをやり切った時に、いろんな今まで引退してきた選手とかの話とか聞いても、やっぱ本当にやりきったって思った時にそれを思うらしいので。その時が来るのかなって思ってます。

―今季の満足度はいかがですか

結構満足です。今回の試合もそうですけど、アメリカで結果残せて、でもそのときは全日本が目標でもうちょっと上げたい部分での結果だったので。うれしかったけど、まだもう少し上にいきたい気持ちでいたので。満足してるけど満足してない感じで。ただ全日本であそこまでできて、今回も今まで出た世界選手権の中で一番自分が納得できたというか、なんか運が良かったねみたいな感じじゃない試合にできたと思うので。そこはすごく満足してます。

―来季で引退と言っているわけではないですよね

言ってるわけではないですね。明日引退してるかもしれないですし。

―「あと9カ月か」という言葉も。競技生活のことでしょうか

早かったらあと9カ月なんじゃないですか? でもなんか自分的に今シーズンも思ってたんですけど、考えながらやってたのは意外と終わりを決めてやった方が出し切れる感じがあって。来シーズンも行けたらそれはオリンピック行けたらいいですけど。なんかそうじゃなくて。オリンピックは行けたら、全日本からオリンピックまでがあれば、そこはそこで調整すればいい話なので。とりあえず全日本まで全力でできればオリンピックいうのを考えた時にも、選考のこととかも、そこまで全力でやっておけば、とりあえずはいいかなと思います。

―今回のスコアは納得できていますか。ジャッジから評価を得るためにはどうすればいいと考えていますか

エレメンツでもちょっとミスがいくつかあったので。点数、見た目的にはまとめたけど、細かい部分でっていうので点数引かれる感じはしてたので。一応130乗ったなっていう感じではあるんですけど。なんかその下の点がちょっと伸びないのが今シーズンでだいぶ変わってきてはいるんですけど。もうちょっと下の点を伸ばすっていうのがまた、振り付けの時にも考えなきゃいけないし。それはちょっとジャッジの人とも相談して、どういうふうに改善したらいいのか。今シーズン改善してきた中でこういう感じだったので、そこはちょっと気にはなってます。

―前のオリンピックは本当に絶対出たい感じだったが、来年のオリンピックへの思いは今どんな感じですか

多分取材で今シーズン全然オリンピックのこと言わないな、この人って感じだと思うんですけど。なんか一応考えてました。ここら辺にはあって。自分のメンタル的に、こうなっちゃうと、ちょっとのことでもうダメだとかなっちゃうので、なんかふんわりふんわり。

―あえてあんまり考えないということですな

傷つきたくない(笑い)

女子フリー後、涙ながらに抱擁を交わす坂本花織(奥)と樋口

女子フリー後、涙ながらに抱擁を交わす坂本花織(奥)と樋口

―この4年で自己分析をするようになって心の扱い方も上手くなった。自分って実はこういう性格だったんだみたいことはありますか

皆さんに伝わってるかわかんないんですけど。弱いので。ハリネズミみたいにトゲトゲしてないと自分を守れないので。そこに気づきました。

―弱さを受け入れられた時間があったのですね

今までというかジュニアの頃からずっと休むまでは周りの人が怖いというかそういうイメージがあったので。普通に助けてって言えない感じがあったので、自分を守るために壁を作ったりとかしてたんですけど。今もその癖はあるんですけど。なんか警戒しがちな部分があったりとかしてて。ただ休んでから、この前の4大陸でも多分話したんですけど、全部どうでもよくなった時に自分の弱い部分も別になんだろう、それが悪いことじゃないし。しんどいとかある時にしんどいですって言えば意外といろんな人助けてくれるかもって思って。それが休んだ時に気づいたので。なんかそこからは結構、割とトゲはしまってます。

―もう少し具体的に言うと、例えば休んだ時に瞬間にそれを感じたとか。具体的な場面はありましたか

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。