【代々木発】大庭雅「こんなにも輝ける瞬間ない」14度目全日本…スケートは“居場所”

フィギュアスケートの全日本選手権女子ショートプログラム(SP)が19日に行われ、大庭雅(東海東京FH)は51・79点で25位となりました。フリー進出ラインの24位までは1・34点であと1歩届きませんでしたが、女子最年長の30歳は14度目の舞台をかみしめました。

22年からフィギュア担当になった記者は、初めて個別インタビューをしたのが大庭でした。当時の記憶と今大会のコメントを交えながら、愛されるスケーターの姿を「記者コラム」として描きます。

フィギュア

〈フィギュアスケート:全日本選手権〉◇12月19日◇第1日◇東京・代々木第一体育館◇女子ショートプログラム(SP)

女子SPに向け調整する大庭(撮影・前田充)

女子SPに向け調整する大庭(撮影・前田充)

「中京生の母として…」

フィギュア界における大庭の存在の大きさを、あらためて感じた瞬間だった。

12月上旬のジュニアグランプリ(GP)ファイナル。

初出場で3位となった岡田芽依は、大会前の練習中に同じ名東FSCの大庭からトリプルアクセル(3回転半)のアドバイスを受けたと明かした。かつて3回転半に挑んでいた15歳先輩の言葉は、光を差してくれたという。

「その時は疲れもあったと思うんですけど、アクセルの調子が良くなくて。それを見た雅ちゃんは、踏み込んだ時に体に足がついていっていない感じがしたみたいで。『足の上に重心を置いて、真上に跳び上がると良いよ』とアドバイスを受けて。その後から良いものが跳べるようになりました」

記者がこの話を大庭に伝えると、笑みを浮かべながら言葉を紡いだ。

「自分が見ていて『もっとこうすれば上手になるのに』『もっとこうするといいのでは』と思うと、つい声をかけちゃうので。芽依ちゃんに限らず、真瑚ちゃん、理乃ちゃん、愛菜ちゃん、優真くん、草太くんにも『こうしたらいいんじゃない?』って。なんかおこがましいんですけど、例えばスピンも『あそこは8回転ギリギリだったからもっと回るといいよ』って。“中京生の母”として、みんなを見守っています」

大庭は照れくさそうに「おこがましい」と口にしたが、後輩たちからすればこれほどありがたいことはないだろう。取材をしていると、多くの選手から大庭の名が自然と挙がる。

そしてそれは、選手に限ったことではない。

記者も大庭の存在に救われてきた。

女子SPで演技する大庭(撮影・前田充)

女子SPで演技する大庭(撮影・前田充)

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。