子どもの体力が落ちる前に知っておきたい「フィジカルリテラシー」という新常識<5>

毎年春に小学校、中学校で実施されている「新体力テスト(スポーツテスト)」。その活用方法に、国が新たな仕組みを導入しています。世界で戦えるトップ選手の発掘を目的に、履歴書ツールを稼働させ、そのデータをもとに適性がある競技へのマッチングを行うシステムを構築、発展させていこうと動いています。5回連載の第4回、第5回では新体力テストの数値を調査に活用しているスポーツ庁の取り組み、そしてスポーツ界で新たな考え方として世界的に広まる「フィジカルリテラシー」を紹介。ドジャース大谷翔平投手(30)をロールモデルに、いま保護者に求められる役割を考える最終第5回です。

スポーツ

スポーツを通じてお子さんに身につけてほしいこととは?

スポーツを通じてお子さんに身につけてほしいこととは?

世界的に注目されている概念

「30分間くらいランニングをしたり、道具を使ってスポーツを上手にできますか」

「運動することが楽しく、いろいろな運動・スポーツをやってみたいですか」

「仲間と一緒に運動・スポーツを楽しめますか」

「運動・スポーツの仕方を知っていたり、どうやったら自分なりに上手にできるか分かりますか」

いくつ当てはまりますか?

スポーツにまつわる領域で世界的に注目される概念の一つとなっている「フィジカルリテラシー」。

日本研究者の第一人者でもある順天堂大学の鈴木宏哉教授は難しく聞こえる概念を、保護者にも子どもにも分かりやすく理解してもらうために、頭をひねる。

質問に該当するほどフィジカルリテラシーが高い。そんな例題だ。

「簡単に言えば、運動やスポーツなど体を動かす事にまつわる教養、です。これには『する』だけが含まれるわけではありません」

例えば、スポーツを通じて自尊感情を育めたり、他人に対する感受性を備え、自分を表現し、他人と関わる能力なども含まれている。

連載の第2回でも取り上げた「お子様の運動・スポーツに関して、あなたはお子様に次のようなことを期待しますか」と保護者に聞いた2017年の調査では、「とても期待している」と答えた中で、「丈夫で健康な体になる」「人に対する礼儀やマナーを覚える」「自分の目標に向かって努力する」などの回答が上位を占めていた。

いわば自己実現と社会性がスポーツを通じて育んでほしい資質と言えるが、フィジカルリテラシーはこの能力を測定の範囲に収める。

「元々は生涯スポーツの視点、文脈で言われることが多いですが、そのリテラシーの一部分に、できるという能力、運動能力を含んでいます。ただ、それだけではなくて、アスリート育成の視点でも必要な要素として、例えばドーピングの問題、倫理的な問題などもある。トップを目指す人ほどする能力以外の別な要素を高めていかなきゃいけない。そういう意味でもフィジカルリテラシーは、重要なコンセプトだと思います」

本文残り67% (2014文字/3003文字)

2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて17年。25年4月に初の異動で野球部へ配属となりました。競技経験はありませんが、現在は息子が通う少年野球チームで“球拾い”コーチとして奮闘中。記者としても、様々な話題を拾います。ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。クラフトビール好きです。