高倉和士の周りを大事にする気持ちに心打たれた。

高倉は24年戸田のボートレースダービーでSG初出場した。開催前に祝いの言葉をかけると「SGカッパをプレゼントするっていう約束、覚えてますか」と返してくれた。

10年ほど前の話である。私がボート記者となって間もない頃で、選手の取材にも苦労していたところ、丁寧に応えてくれたのが高倉だった。

15年には芦屋の準地元スター候補に選ばれるほど高いセンスの持ち主だったが、伸び悩んだ時期も長かった。「今(ジャンプ前の)しゃがんでる状態ですね。よくしゃがむんですよ」と冗談交じりに話してくれた。すぐに記念やSGで活躍できると信じていたし、そうなって欲しいと思った。

応援の意味を込め、SGに出たら一緒の格好をしたいからSGカッパが欲しいと頼んでいたのだ。そんな昔の小さな口約束を覚えてくれていたことに驚き、感動した。

レース内容も気迫にあふれていた。初のSGの舞台ながら、初勝利を挙げるなど充実した内容で予選突破。優出まであと1歩だった。

レース後「次はないという思いで臨み、準優の結果を受け入れられない自分がいます。応援してくださった皆さまに本当に申し訳ないです」と、真っ先にファンに対する気持ちを口にした。それくらいファン思いの高倉だからこそ、出た言葉だったと思う。

SGカッパができるまでは数カ月かかったため、同じ格好で応援とはいかなかった。だが、同封してあった手紙に「まだSGを諦めてない」と強い気持ちが記してあった。次の大舞台を応援するのが楽しみだ。


高倉和士(2024年4月30日撮影)
高倉和士(2024年4月30日撮影)

◆高倉和士(たかくら・かずと)1991年(平3)6月25日、福岡県生まれ。111期生として12年11月芦屋でデビュー。13年11月徳山で初勝利を挙げた。18年10月の徳山で初優勝。同期は安河内将、竹井貴史、中村晃朋ら。169センチ、54キロ、血液型A。