年末のGPは、がばい旋風を巻き起こす。深川真二(43=佐賀)がデビュー25年目で待望のSG初優勝。リスクを背負って進入から大胆に仕掛け、SG5回目の優出で第64代ダービー王の称号を手中に収めた。獲得賞金は6300万円を超え、年末の住之江グランプリ初出場を確実とした。1番人気の1号艇魚谷智之が2着。道中追い上げた白井英治が3着に入った。

 いつ何時でも自分のレーススタイルを曲げることはない。これが深川真二の男道。いつものように深い起こしを気にせず、6号艇から前付けに動いた。コンマ14のトップスタートを決めると、1Mはこん身の差しハンドル。先マイの魚谷智之をバック半ばでとらえた。2周1Mで魚谷に迫られたが、不思議と気持ちの余裕があった。「スタートは(進入が)浅かったので、気にはならなかった。差されたって思ったけど、まだ勝てるような気がした」。何度も食らいついてきた魚谷を退け、初めてSGの頂点に立った。

 ピットに引き揚げるなり上滝和則選手会長、かわいい後輩の峰竜太と抱き合った。上滝会長は「最近は佐賀に流れが来ている。山田(康二)がG2を取ったり、三井所(尊春)も記念を取った。そういう流れが来るときがある。感慨深い? そりゃそうだよ。宿舎で嫁よりも寝泊まりしているからね(笑い)」。寝食をともにしてきた後輩の快挙に目尻は下がりっぱなしだ。その言葉を聞いた深川も万感の思いで、こう返した。「上から押さえつけられ、下から突き上げられ…大変でしたけど、上滝さんは僕たちを育ててくれた。(峰)竜太は火を付けるぞって来てくれたし。2人に感謝しています」。

 年末のグランプリでも、コース取りから沸かせてくれる。「(枠番抽選で)6枠ばっかり引くと思うけど、そっちの方が僕はいい。せっかくですから“競艇”というのを見せたいですね」。勢いづいた魂あふれる前付け王を、誰も止められない。【古村亮】

 ◆深川真二(ふかがわ・しんじ)1974年(昭49)6月6日、佐賀県生まれ。71期生として92年11月のからつでデビュー。93年1月の福岡で初勝利、96年4月の丸亀で初優勝。G1優勝4回、SGは優出5回目で初優勝。通算V81回。同期は山崎智也、海野ゆかりら。165センチ、51キロ。血液型B。