一般戦の鬼が、SGの鬼へと進化―。前本泰和(49=広島)がインから逃げて快勝。13年12月住之江グランプリシリーズ以来、2度目のSG制覇を果たした。獲得賞金は6000万円を超えて賞金ランキング3位に浮上した。2着は菊地孝平、3着は湯川浩司が入った。

シャイな前本泰和が、ゴール前で大きくガッツポーズを見せた。「今度いつできるか分からないからね」とはにかむ姿は変わらなかったが、記者会見では大きく胸を張って堂々とした受け答え。納得のレースができた自信の表れだった。

菊地孝平の2コース強ツケマイにも全く動じることはなかった。「せっかくもらったイン戦だったし、スタートだけは遅れないように行くつもりだった。調整も伸び型のエンジンを自分好みの乗り心地に持ってこれた。菊地君が握ってくるのは想定の中にあった」。冷静沈着に1周1Mを回り、バックでは強力に伸びて突き放した。20歳でデビューから29年、一般戦が中心とはいえ127回の優勝を積み重ねてきた。その勝負強さをSG優勝戦の舞台でも発揮した。

「少しずつ努力し続けてきた結果だけど、49歳でも進化の途中。ピークはまだ先。まだまだうまくなりたいと思って走っている」と話した。SGの中のSGを制し賞金ランキングは3位に浮上。「グランプリは6位以内に入って走りたい。それを意識して走っていく」。SG、GI戦線でもいぶし銀の輝きを放ち続ける。【神田成史】