あと何度涙を流せばいいのか。村上義弘のおとこ気先行を番手まくりした稲垣裕之は、またしてもG1制覇に届かなかった。

 レース後、真っ先に村上の元へ行き頭を下げた。「僕もちゅうちょなく踏み込んだし、全力でゴールまで踏み込んだので悔いはない」。努めて冷静に口を開いたが、その後はこみ上げる悔しさに言葉を詰まらせた。「これまでずっと村上さんの背中を見て来た。今日ほど大きく見えたことはない」と、涙ながらに感謝した。近くて遠いG1タイトル。この涙を糧に、今度こそタイトルをつかむ。