【川尻将志・オレに任せろ】

 ◆11R 徐々にムードは上がっている。4日目2予10Rの走りは圧倒的だった。渡辺一成は鐘4角から柴崎淳をたたいた古性優作の仕掛けに乗って、一気にスパート。バックではあっさりと先頭に立ち、マーク佐藤慎太郎を振り切ってそのままゴールを駆け抜けた。「ラインで決めたかったが、人気に応えることができたし、結果には満足している」と力強く胸を張った。世界選(ロンドン)から4日に帰国。強行軍での参戦だが、体調をうまくコントロールし、完全に足は仕上げてきた。

 東日本大震災から11日で5年が経過した。福島県双葉町出身の渡辺は「5年の月日は、あっという間だった。まだまだ復興にはほど遠い。被災地で応援してくれている人のためにも、いいレースをしたい。その気持ちは常に持っています」と、どんな時でも被災地と寄り添って戦ってきた。単純な言葉では語り尽くせない思いが、今の渡辺を形作っている。準決で行進を止めるわけにはいかない。

 全日本選抜でG1初タイトルを手にし「余裕を持って今年を過ごせる」と落ち着いた表情で話す。正念場を迎えても、精神的には優位な立場でレースに挑めそうだ。深谷知広の計り知れないパワーも確かに魅力だが、GR賞の走りから判断する限りは、レースの組み立て、仕掛けるタイミングのうまさでも、現状では渡辺が上をいく。ライン3車のメリットも最大限に生かし、前前に仕掛けて突破する。車券は(5)から2、3着(1)(2)(3)(6)(7)の20点で狙う。