【ヤマコウのKEIRINグランプリ2015観戦記】

 浅井康太が優勝した。11年にG1を2つ取った後、4年が経過したが、時間は決して無駄ではなかった。

 自在という戦法はひとつ間違えば中途半端なレースになってしまうが、彼は違った。先頭を走るときは常に自分がどう見られたいか考えて走っていた。それはプライベートでも一緒だ。視界の広さ、雰囲気を読む力は超一流。練習方法や自転車の乗り方も包み隠さずほかの選手に教える。自分に自信がないとできないことだ。だから、さばきもマーク陣顔負けのテクニックになった。

 私が現役時代、一番叱ったのが浅井だった。ときには反発もした。しかし今、浅井は花開いた。今度は彼が後輩を育てる番だ。叱るということは簡単そうで難しい。私は頭ごなしで叱ったが、彼は相手を理解してやって諭す力を備えている。中部黄金時代をつくるのも浅井次第だ。おめでとう。(山口幸二=日刊スポーツ評論家)