【ヤマコウの時は来た!】

 ◆11R:ヤンググランプリ 全員単騎となったヤングGP。戦歴だけを見れば、新山響平と吉田拓矢が抜けている。吉田はG1ファイナルやG3初優勝は新山に先を越されたが、評価は変わらない。直前の伊東G3でも、すんなり逃げて勝ったレースばかりではない。強い吉田を後方に置きたいと思う自力選手の早めの先行をしっかり受けて立って、なおかつ勝利している。

 その2人が人気の中心になると思うが、私は畑段嵐士に期待する。10月の京王閣G3・3日目に落車。左腕と手首を骨折して傷痕もまだ生々しいが、12月の向日町F1から戦列復帰した。そのときは「ダッシュで全く力が入りませんでした」と言っていたので「今回は?」と聞くと、一瞬間があって「大丈夫です」と、ひょうひょうと答えた。こういったシュールなところが私は好きだ。

 今回載っている写真も、カメラマンが「山口さん、肩を組んで拳を上げて下さい」という注文に、畑段から私の方に手を置いてきた。何事にも物おじしないところもレースに現れている。それがいい方に出ていたのが今年の前半戦。後半戦はレースを読まれて勝ち切れない中での落車。それでも復帰戦で決勝まで進んだところに底力を感じさせる。

 ヤングGPは先行する選手を読むのが困難だ。誰もが逃げるより、混戦をまくりたい。それでもカマす勇気のある選手は吉田、新山あたりか。先行がないのは畑段、野口大誠。後方になってもコースを突っ込めるのは畑段だ。大物感があり、いろんな意味での規格外れの畑段に期待する。

(日刊スポーツ評論家・山口幸二)