KEIRINグランプリ2016(GP)がきょう30日、東京・立川競輪場で激戦の時を迎える。武田豊樹(42=茨城)は、平原康多との連係で頂点を目指す。

 苦闘の1年だった。武田は1月和歌山G3で今年のスタートを切った。だが、いきなり初日に落車棄権。くしくも42歳の誕生日でもあった。負の連鎖は止まらず、6月のG1高松宮記念杯の準決で喫した落車は選手生命をも左右しかねない重傷だった。ヘルメットが割れるほど頭部を強打して一時は意識不明。数日間は頭痛と左目の視力低下と視野が狭くなるほどだったが、落車直後からバンク練習再開。「選手をやっていれば、こんなこともあるよ」と笑い飛ばしたが、若い練習仲間は言葉を失った。

 ラストチャンスでつかんだGP切符にも「平原君といつも通り」。スピードスケートの五輪代表から転向し、頂点に立った男は、何の気負いもなく盟友との連係で結果を出す。絆で結ばれた者同士が最後の最後で今年最強の座を争う。