【ヤマコウの時は来た!】

 GR(ゴールデンレーサー)賞、平原康多はいったん3番手に入ったが、すかさず巻き返した。それは「僕の後ろで武田さんと浅井が並走していたのがわかったから出ていった。武田さんを競らすわけにはいかないですから」と言っていたが、2人の絆の深さを感じるコメントだった。

 さあ準決。ここを突破しないとダービー王の称号は得られない。その中で10Rの山崎芳仁をピックアップした。2予の走りは安定感たっぷりだった。ギア規制後、一番苦しむのは山崎だろうという下馬評を覆し、今年最初のG1を制した。

 その前は、12年前橋オールスターで優勝したが、この時は本来の力強さではなかったように思う。番組でも当て馬のように扱われ、悔しい思いをしたことだろう。それでも「もう1度GPに出たい」という思いが、新たなる探究心をかきたたせていった。ギア規制の半年前から、フレーム、シューズなど、あらゆることを試行錯誤していった。

 そこからのG1制覇。「久しぶりにうれしかった」と語る山ちゃんの顔には、現在の状態の良さが現れていた。

 このレースは番手戦になるが、スピードでは前を走る新田祐大が上回る。そこを追走して勝利を呼び込むだろう。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)