【栗田文人・車券放浪記】

◆12R:決勝 今度は勝つ番だ。清水裕友が今年G1初優勝を飾る。決勝メンバーが決まり、中国2人の話し合いはほとんど時間をかけることなく、松浦-清水と決まった。これは初日特選と同じ。「松浦が前で引っ張り、清水が勝つ」は、シリーズ前からの暗黙のストーリーだ。

ともに状態は上がっている。松浦は準決9Rで稲川の執拗(しつよう)なブロックをこらえて2着に入り、稲川が「(松浦は)止まったと思ったが、ゴールしたら後ろにいたので『何てやつだ。これが賞金ランク1位なのか』と思った」と驚いたほど。一方の清水は準決11Rで、単騎でカマしてきた山崎の番手から楽々と抜け出し「調子はそこまで良くはないが、決勝に乗れたので良かったかな。落ち着いて走れています」と振り返った。いつも通りのポーカーフェースを見れば、出来に不安はない。

令和になってから、松浦-清水の並びは今回の初日を含めて10度あり、全て清水が勝っている。(勝ちは先着の意。逆は22度で清水6勝)。清水のビッグ初タイトルとなった昨年の全日本選抜も、松浦の番手だった。今年5月の日本選手権では清水が前を回り、松浦をダービー王に導いている。2人が並んだ時は番手の優勝確率が高いことを聞いた清水は「その流れを逃さないようにしたい」と目の奥を光らせた。仕掛けの早い松浦を、ここは番手から容赦なく抜きにいく。

清水後位にいそうな稲川と北勢の番手佐藤を2着に、3連単(7)-(1)(3)-全。