初日は、バックの強い向かい風が選手を苦しめた。記者室のプレハブもバタバタと音を立てる。G2の舞台ながら、12秒台の上がりタイムが散見されたのも納得。印象に残ったのが特選11Rの真杉匠だ。

このレースは、先行で存在感を示したい藤井侑吾を相手に、真杉はもがき合い覚悟で仕掛けた。一方、藤井は押さえ先行の経験不足が真杉のカマシを招いた。藤井はいい経験になっただろう。脇本雄太にまくられても真杉は勝負をあきらめず3着に残った。体幹(特に腹筋)がしっかりしているので、前に重心が行かない。前に行かないということは、肩甲骨に負荷がかからないので、上半身と下半身の連動が取れている。それが最大の強みだ。

ヤマコウは北井佑季(右)の番手に付く深谷知広を推した
ヤマコウは北井佑季(右)の番手に付く深谷知広を推した

毘沙門天賞は四国と中国の並びが出るまで時間がかかった。犬伏湧也を巡る攻防があったと思われる。犬伏は「調子は悪くないと思うが寒さと風が収まってくれたら…」と、天候に悩まされた様子だったが、北井佑季を相手にどう立ち回るのか?

主導権を握るのは先行選手の看板を掲げる北井が濃厚だ。番手の深谷知広は「ダービー(日本選手権)に向けて練習を追い込む中で、(ウィナーズカップ前は)疲れを抜く期間だった」というが、特選12Rで犬伏の番手まくりを捕らえた。「パッとしないけど周りは見えている」と厳しい表情だった。松浦悠士が混戦に巻き込まれたことも追い風だった。

深谷が移籍したことで、南関地区の層が厚くなっている。その核にいるのが深谷だ。(日刊スポーツ評論家)