今年の桜花賞は、桜の開花が遅いので、文字通り桜の中で行われる。桜花賞は注目度も高く、競輪選手にとって憧れの大会である。その大会を4連覇する郡司浩平の底力は目を見張るものがある。

前検日インタビューに答える郡司浩平
前検日インタビューに答える郡司浩平

今年からS級1班に降格し、最初の岸和田F1は完全優勝。S級S班で4年間培われた経験や脚力は、他の選手を大きく上回った。赤いパンツを脱ぐと「返り咲く!」という思いと、どこか安堵(あんど)の気持ちが交錯するが、郡司に安堵の気持ちはなかったのだろう。その後、岐阜のG1全日本選抜を優勝し、来年の赤パンツを早くも確定させた。

しかし課題も残る。北井佑季や松井宏佑らの番手は他の選手にとっても魅力的なので、攻められやすい位置をどれだけ守り通すことができるか。岐阜G1の準決は、古性優作がインに潜り込み、不意打ちの形で郡司を退けた。3着で決勝に乗ったものの、消化不良で終わった。レースはその場限りで終わるが、人の印象は連綿と続く。このイメージをどこまで払拭するかが郡司のこれからの課題だろう。

あのレース以降、インから来られるのを警戒して、前を走る選手のやや下を追走している。私は堂々と追走したらいいと思う。その中で視野を広く持ち、インを警戒すれば不意打ちされることも減る。見方を変えたら、外で受けるのを嫌がっているようにも見える。その数センチの違いで郡司のヨコの印象はさらに上がるだろう。(日刊スポーツ評論家)