令和のニューヒロインが誕生! 大山千広(23=福岡)が完璧なイン逃げで女子レーサーの頂点に立った。

23歳6カ月でのレディースチャンピオン優勝は98年三国大会での西村(現・本部)めぐみの24歳3カ月を更新する史上最年少V。元選手の母・博美さんが果たせなかった夢を娘がかなえた。今年の女子獲得賞金額はトップに浮上。年末のプレミアムG1クイーンズクライマックス(徳山)初出場を確実にした。

1Rスタート展示開始前に行われた優出インタビューで、大山は「チャレンジャーなので、気負わずに楽しみたいです」と殊勝に話した。しかし、ふたを開けてみれば相手を一切寄せ付けない圧勝劇。その走りっぷりは、風格すら感じさせた。

レディースチャンピオン初出場で初優勝。一般的には快挙というべきだが、大山に関しては全く当てはまらない。昨年9月のプレミアムG1ヤングダービーではG1初陣ながら初優出(6着)、5月にはオールスター(福岡)でSGの舞台も踏んだ。まさに勝つべくして勝ったといっていい。パートナーの64号機は前検から力感たっぷり。「別格」と誰もが脱帽するほどの強烈パワーを知らしめた。

優勝戦のスタートはコンマ01とまさに究極。「手前で1度放ったんですが、今井(美亜)さんが前に見えていたのでひやっとした部分もありました」と振り返った。1Mは緊張のせいもあり、ハンドルが思いの外入らなかったが、そこからぐいっと前に出るとあとは独走態勢。2Mを回って、後続の競りを見て優勝を確信した。

「女子NO・1になる」というレーサーとしての夢はかなったが、これは序章に過ぎない。今後の抱負を聞かれると「SGで活躍できるように、もっともっと自分のレベルを底上げしたい」。無限大の可能性を秘めた令和のシンデレラストーリーは、いま始まったばかりだ。【工藤浩伸】

◆大山千広(おおやま・ちひろ)1996年(平8)2月5日、福岡県宮若市生まれ。ボート116期生として15年5月、福岡でデビュー、翌16年4月に若松で初勝利。初優勝は17年9月の福岡G3オールレディース。今年5月の福岡オールスターでSG初出場しドリームメンバーに選出。161センチ、46キロ。血液型O。