【松井律・競輪黙示録 スペシャル】

◆11R:準決 努力に勝る天才なし。この言葉の裏には「天才肌は、コツコツ努力することが苦手」というニュアンスが含まれる。しかし、天才肌が努力をしたら、それは無敵となる。

荒井崇博は、典型的な天才肌の男だ。血のにじむような練習をして…というストーリーはなかなか表に出ない。むしろ、レースが終われば、仲間を引き連れて酒を浴びる豪傑イメージが先行していた。集中すればG3を完全優勝する力があるが、気性が荒く、成績のむらも大きかった。

荒井を語る上で、中川誠一郎、井上昌己というエリート2人の存在は欠かせない。最近の活躍の裏にも、中川との通算勝利数争いがある(現在荒井498勝、中川492勝)。「500勝という目標が一番の原動力になった。1着を取るには、何かやらないといけんからね」。

30代後半にけがで苦しんだ経験から、40代に入ると肉体改造に着手した。「タテ足は昔と変わらん。でも、混戦で踏めるようになったね」。

そんな荒井の背中を見て、嘉永泰斗や松岡辰泰らが稽古に来るようになった。「俺だけやないよ。昌己や誠一郎もおるから来るんですよ」と照れたが、今の九州は、荒井を中心に大きな円を描き始めた。

「準決は誠一郎に引っ張ってもらう予定やったのに予定が狂った」と余裕のジョーク。前前に攻める山田庸平のスピードを利して、混戦での強さを証明する。

(9)=(1)(3)(5)(7)-(1)(3)(5)(7)の24点。

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