22年ワールドカップ(W杯)カタール大会のアジア最終予選の組み合わせ抽選は7月1日に行われる。日本は2次予選を8戦全勝、最多46ゴールを挙げて突破した。MF南野拓実がチーム最多の9得点、FW大迫勇也が8得点をマークする活躍を見せたが、今回の2次予選ではその2人を上回る得点数を記録したストライカーがアラブ首長国連邦(UAE)にいる。

FWマブフート(30=アルジャジーラ)。7試合に出場し、唯一2桁となる11ゴールを決めた。相手DFの背後を突く動きは健在で、そのプレーは30歳を迎え、円熟味を増す。

国際Aマッチ通算の得点数も92試合の出場で76点とし、「世界得点ランキング」で日本の釜本邦茂らの75点を上回り歴代単独8位に浮上した。ブラジルの王様ペレの77点にもあと1点。現役選手に限れば、あのポルトガル代表FWロナウドに次いで2位につける。

世界屈指の点取り屋であるマブフートは、まさに日本の天敵。15年アジア杯の準々決勝では前半7分に先制点を決め、日本はPK戦の末に敗れた。前回ロシア大会の最終予選初戦でも同点ゴールにつながるFKを獲得したのが背番号7。その突破をDF吉田麻也が倒して警告を受けるなどで、日本は大事な初戦を1-2で落とした。

今回のカタール大会の最終予選でもUAEはサウジアラビアとともに第3ポットに入っており、第1ポットの日本と同組になる可能性がある。

エースが高い決定力を示すUAEは、オランダの名将ファンマルウェイク監督が率いる。アルゼンチン出身のFWタグリアブエ(36=アルナスル)、ブラジル出身のFWカイオ(30=アルアイン)とMFファビオ・リマ(27=アルワスル)がUAE国籍を取得し、20年から新たに代表チームに加わった。ファビオが6月の2次予選4試合で5ゴールを挙げるなど、国籍変更選手も予選突破に大きく貢献した。

マブフートは2次予選の公式会見で「重要なのは自分のゴールではなく、チームが勝ち続けること」と繰り返した。さらに「チームはW杯出場という夢を達成するだけの力がある」。

UAEのW杯出場は90年イタリア大会の1度だけだが、32年ぶり2度目の出場へ、アジアの得点王を中心に、急速にチーム力を高めている。

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)


〈W杯アジア2次予選得点ランク〉★は最終予選進出

11 マブフート(★UAE)7試合

9 南野拓実(★日本)7試合

8 大迫勇也(★日本)3試合

〃 ウー・レイ(★中国)8試合

7 スマ(★シリア)5試合

〃 アンサリファルド(★イラン)5試合

〃 アズムン(★イラン)7試合

〃 ショムロドフ(ウズベキスタン)8試合

6 金信旭(★韓国)4試合

〃 サウター(★オーストラリア)5試合

〃 マワス(★シリア)8試合

〃 アリ(カタール)8試合

〃 バハ(ヨルダン)8試合

〃 ナセル(クウェート)8試合


◆W杯カタール大会アジア最終予選 2次予選を突破した12チームが6チームずつ2組に分かれて争う。各組2位までが本大会出場権を獲得し、各組3位同士によるプレーオフの勝者が大陸間プレーオフに進む。最終予選の抽選会は7月1日。12チームをランク付けし、6つの「ポット」に分ける。日本はイランとともに第1ポット。第2ポットはオーストラリアと韓国。日本はイランと同組にならず、オーストラリアか韓国のいずれかと同組となる。第3がサウジアラビアとUAE、第4がイラクと中国、第5がオマーンとシリア、第6がベトナムとレバノン。