<W杯アジア最終予選:サウジアラビア1-0日本>◇B組◇6日◇サウジアラビア・ジッタ

 今回の予選を通じてのMVPは吉田だ。2次予選から全試合フル出場し、ゴールも決めた(計4得点)。コンディションが整っていた。サウジアラビア戦後のテレビインタビューで今後についてこう言った。「大切なのは自分のチーム(サウサンプトン)に戻ってしっかり試合に出ること。しっかりコンディションを整えて、チームでも代表でもいいパフォーマンスを出せるように」。これはハリルホジッチ監督が言わなきゃいけない言葉なんだ。それを吉田が言った。代表では選手強化はできない。選手は所属クラブで成長する。

 サウジアラビア戦について、選手はW杯本番へのアピールの場と思っていたようだが、アピールできた選手は1人もいなかった。日本は失うものはないから、攻めなきゃいけないのに、チャンスはセットプレーだけ。結局、日本は日替わりヒーローなんだ。原口、久保、浅野、井手口…。オーストラリア戦で活躍した浅野や井手口もこの日は出来が悪かった。コンスタントにプレーし、得点できる本物の「軸になる選手」が不在。メッシやロナルドとまでは言わないが、チームの「ナンバーワン」がいない。

 吉田、長友、酒井宏はコンスタントにプレーしているが、彼らを脅かす控えがいないことも事実で、それはそれで問題だ。彼らも人間で、所属クラブで不本意な故障をする可能性だってあるのだから。(日刊スポーツ評論家)