ゴールラッシュで快勝だからと「よくやった」と褒めたら、日本代表に失礼なくらいだ。レベルの差は明らかで、この結果は当たり前、2桁得点してもおかしくなかった。新戦力も得点を決めたが、これで「大迫の穴が埋まった」と思ったら早合点だろう。

相手守備陣はボールを追い掛けてばかりで、距離感も競り合いも甘かった。技術も速さも厳しさも乏しい。最終予選の相手のレベルを考えたら、参考にはならないよ。しかも6得点のうち3点は守備陣が決めたのだから、攻撃陣にはもっと取ってほしかった。

選手をたたえたいのは、どんな相手にも一生懸命、真面目に戦ったということ。逆に言えば、相手の質を考えてもっと落ち着いてシュートを打つとか、より状況のいい選手に球を渡すとかした方が、効率よく得点を重ねられたはずだ。

冨安が最後に足を痛めたのは損失だ。ただ2次予選はまだ無理する時期ではないし、代役もいるだろう。敵地での次戦にしっかり勝てば、2次予選のヤマ場は越えたも同然だ。

南米や欧州はもちろん他の大陸を見ても、W杯予選でこれほどレベルの差が大きい対戦はアジアだけだ。本来スポーツや勝負事は、実力伯仲しているからこそ面白いもの。ラグビーW杯で日本代表が熱戦を続けているこの時期に、この日のような実力差がある試合はちょっとつらいよね。(日刊スポーツ評論家)