世間がバレンタインでにぎわう頃、大阪・吹田市では歴史の扉が開きました。2月14日、G大阪の新スタジアム「市立吹田スタジアム」でプレシーズンマッチが行われ、3-1でG大阪が名古屋に勝利しました。

 タッチラインから客席最前列まで7メートル、バックラインからゴール裏までは10メートル。まるで欧州のスタジアムのような臨場感は、日本のスタジアム事情に改革を起こしたと言っても過言ではありません。

 日本で初めて寄付金と助成金から建てられ、約140億円で完成。スタジアム建設の平均予算は1席において約50万円と言われているので、4万人規模なら200億円ほどが必要です。しかし、吹田スタは面積を20~30%減少させ、コンパクトに、シンプルに作ったことで30%オフの格安価格で建設できました。

 どういう工夫があるのか? 例えば、女子トイレ。便器にふたが付いていません。これはコストダウンだけでなく、ふたを閉めるという1つの動作減らすことで時間の節約にもつながっています。手洗い場に鏡も付いていません。身だしなみを整えるためのコーナーは、別場所に設置。手を洗うことだけに集中してもらうことによって、回転率を良くします。

 見た目は簡素な作りに見えるかもしれませんが、これはここから「成長させるため」。スタジアム担当本間さんによると「今はストレスを感じず試合に集中できるための環境をつくろうと努力しただけ。ここから増設も可能ですし、私たちと一緒にスタジアムも大きくなっていってもらいたい」と思いが込められています。

 隅々まで作り手の愛が行き届いたスタジアム。楽しみ方は人それぞれです。小さなことですが、スタジアムの周りにはデザインマンホールがあります。G大阪のエンブレムが施されたマンホール。スタジアムの周りに全部で7つあります。全て見つけるときっといいことが…あるかは分かりませんが、周りを歩きながら探す楽しみ方もあります。ぜひ、16年はあなたなりのサッカー観戦を挑戦してみて下さい。


 ◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を経て14年、大阪本社に入社。1年目の同年11月からサッカー担当。今季の担当はG大阪など西日本クラブ。今年の目標は日焼け対策をしっかりすること。