“レーヴ・スタイル”は勝ち組への扉か、それとも見かけ倒しか?

 J1仙台の渡辺晋監督(42)が今夏、試合の開催日に着用する「クールビズ」スタイルは、グレースーツ×濃紺シャツのシックな組み合わせ。これまでは黒スーツ×白シャツ、そしてチームカラーである黄色(ゴールド)のネクタイで決めていたが、ここ数試合は夏仕様にフルモデルチェンジ中。

 内容は形式によって導き出されるという意味の「信は荘厳(しょうごん)より起こる」という言葉があるが、細マッチョでスタイル抜群の同監督だからこそ可能な? 格好いい仕上がりとなっていて、よく似合う。

 このおしゃれなスタイルのお手本となっているのが、ドイツ代表監督のヨアヒム・レーヴ氏(56)。14年のW杯でもドイツを優勝へ導いた名将で、指揮官としての実力もさることながら、容姿も端麗。その着こなしも世界の注目を集めるイケメン監督なのだ。

 そんなレーヴ氏からインスパイアされ、「勝てるように」とそっくりのいでたちで選手らを鼓舞し、指揮を執る16年夏。

 仙台は毎年、暑い夏に苦戦する。7、8月の成績は良くない。直近でも15年は1勝2分け5敗、14年も1勝1分け7敗で、さて今年の夏は? 現時点で3勝1分け3敗。苦手の夏にここまでで3勝を挙げていることは評価できる。

 8月6日のリーグ戦では、ファーストステージ王者の鹿島に1-0完封勝ち。この白星は仙台にとって、実に14年ぶりにアウェーで鹿島から勝ち点3を奪ったという金星だった。渡辺監督にとっては、その14年前の一戦がJ1デビュー戦だったという縁も。長い間、勝てずにいたカシマスタジアムで両拳を握るガッツポーズを決め、「私自身がずっと歴史を見てきて、楽な展開にはならないと思っていた。今日は間違いなく選手らに気迫があった」と目を細めていた。

 その翌日の8月7日。仙台の女子部がホーム(ひとめぼれスタジアム)でカップ戦を戦い、2-0で新潟を下して予選首位突破を決めた。毎年8月6~8日に「七夕祭り」が行われる本拠地仙台。3日間で200万人もの観光客が訪れる一大イベントの期間中に、ベガルタの織り姫とひこ星はそろって金星をゲットした。

 その試合では、仙台レディースの千葉泰伸監督(45)もグレースーツ×紺シャツを“まね”して着用し「前日に鹿島に勝ったナベ(渡辺監督)にあやかってこれを着ました」と笑っていた。

 レーヴ流の指揮官が率いる仙台は、次節13日のホーム柏戦から全身でゴールドを身にまとう「復興祈念ユニホーム」も着用する予定。真価が問われる勝負の8月。夜空に白星を輝かせ、上位を狙う。

 ◆成田光季(なりた・みつき)1989年(平元)5月6日、東京都練馬区生まれ。幼少から始めた体操競技で中学、高校時代に日本一を経験。明大から12年に入社。13年から東北のアマチュアスポーツを中心に取材。15年から仙台担当。