東京オリンピック(五輪)代表候補のJ1大分トリニータDF岩田智輝(23)が、コロナ禍に負けじと奮戦している。いよいよ5月19日から全体練習が再開する。だがチーム活動休止に伴う自宅待機中は、自分と向き合う貴重な時間だったようだ。

まだ23歳。とはいえ、やはり「サッカーで使う筋肉は多少落ちた」と言い、限られた練習環境の中で困難を強いられた。さらにサッカー界で新型コロナウイルス感染拡大の影響でうつ病を訴える選手がいるとも伝えられている中、メンタル面については「不安はないが、ボールを蹴られないストレスがある」。そして、Jリーグ再開がいまだ白紙の状況には「人と、ボールを蹴ってサッカーは成り立つので寂しい」と言い、険しい日々を過ごしてきた。

それでも「目標をかなえる強い目標があれば、いくらきつくてもやれる」との信念で、最善の努力は怠らなかった。体力維持のため体幹や筋力を鍛えることはもちろんだが、全てをプラスととらえ、前向きに取り組んでいる。

心機一転、英語の勉強を始めたこともそうで「しゃべることができると思っていたが、まったくしゃべれず、ちゃんとやろうと思った」。早速、中1レベルで使う単語帳を購入し「熟語も入っているもので、1日最低でも2ページ勉強しています」と、将来の海外移籍も視野に猛勉!?中だ。

食事も栄養バランスを第一に考え、自炊している。「料理は好きです。朝は卵かけ納豆ご飯にフルーツ、昼は麺系が主で、夜は肉を焼いたり、バランスよく野菜も取るようにしています」と気を使っている。

全ては、Jリーグ再開を万全の状態で迎えるための備えでもある。コンディションを整える準備期間に関しては「万全にしないと、見ている方はおもしろくない。やる側(選手)は100パーセントの力を出したいので、(再開まで)5、6週は欲しい」という。

目標だった東京五輪は、1年延期になった。だが「人のため、世の中のために自分に何ができるのか、考えさせられた。サポーターや子どもたちのために、もっと頑張ろうと思っている」。新型コロナウイルス感染拡大の収束はいまだ見通せないが、Jリーグ再開へ、モチベーションはより高まっている。【菊川光一】

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市博多区生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグや高校野球などを担当、プロ野球などのカメラマンも兼務する「二刀流記者」。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。