ガンバ大阪のレジェンドで監督だった宮本恒靖さん(44)が14日、就任から約2年11カ月で事実上の解任となった。

開幕10試合でわずか1勝、総得点3の成績不振にクラブは早期に決断した。記者の元へも業界から賛否の反響が多く届き、その存在の大きさを改めて実感した。

宮本さんをよく知る関係者は指摘する。「監督は責任感が強い。対戦相手の分析を含め、多くの仕事にかかわっていた。理論は間違いなくあったが、ただ選手への伝達が、うまくいかなかった。特にコロナ禍で状態が上がらない外国籍選手に、なぜ試合で起用しないのか、といった説明が足りなかったと思う」。

W杯に2度出場した現役時代から取材をしてきた記者が、宮本さんを表現するなら、決して仲間と群れない孤高の人。口数は多くはないが、主将として仲間に耳の痛い言葉が言える。地方遠征の際、1度だけ羽目を外して飲んだ話を聞いたが、その程度で逸話になるほどクールだった。

監督になっても路線は継承していた。14年W杯ブラジル大会で国際サッカー連盟(FIFA)の分析担当を経験し、「オフもほぼ試合を見ています」と言っていたのが印象的だ。選手や記者に弱音やスキを見せる人ではなかった。

監督に途中就任した18年は9位、19年は7位、20年は2位。右肩上がりの成績を収めた。決して言葉数で指導するタイプではないことも、クラブは承知の上で4年目に突入した。適度にあった選手との距離が、結果が出ないことでマイナスに働いたのかもしれない。

ただ、忘れてはいけないのが宮本さんにとって、今回が監督初挑戦だったこと。今から4年前、G大阪の若手(U-23)を指導していた宮本さんを取材した時、高校生年代へのエールを求めると「負けず嫌いな選手になってください」とコメントしてくれた。失敗で学んだことが、2度目の監督登板に生きないはずがない。孤高の人が、どんな姿で戻ってくるのか楽しみにしたい。【横田和幸】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)