奇跡の逆転残留のキーマンとして、大分トリニータFW渡辺新太(26)に注目だ。

互いに負けは許されない降格圏脱出バトルとなった17日ベガルタ仙台戦で、なんと、2月27日開幕戦以来、約8カ月ぶりとなるゴール。この試合2得点で今季初の2連勝に貢献した。現在J1ワースト得点のチームにあって、残留争いも大詰めへきてのストライカー“覚醒”で、崖っぷちからの巻き返しに勢いが増したに違いない。

渡辺は仙台戦で「このゲームで決まると言っても過言ではないぐらいの試合だったので、みんな最初から気持ちが入っていたし、球際や走る部分で勝てていたのでこういう結果になった」と、自身も気迫を前面に結果を残した。

苦しんで成長した証しだろう。昨季はキャリアハイペースで得点を量産していた。だが、9月に全治3カ月の右足のけがを負う試練。今季は、生え抜きで愛された新潟から、覚悟を持って大分へ完全移籍する大きな決断をした。ゴールも期待された。しかし、開幕以来、「これだけ点が取れなかったのは経験したことがなく、すごく苦しみました」という屈辱も味わった。

それでも、腐らず「チームのために何かできることを考え、いつか点が取れると考えてやっていた」と、ゴールは奪えなくても、守備で献身するなどで前向きだった。

残り6試合で残留圏16位徳島ヴォルティスとは2差18位。その徳島と23日に敵地で直接対戦するにあたり「気持ちと気持ちのぶつかり合いと思う。ベースのとこで徳島さんに負けないことが大事」。初3連勝で一気に降格圏脱出を目指す。【菊川光一】

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市博多区生まれ。福岡大大濠-西南大卒。93年日刊スポーツ入社。写真部などを経て現在主にJリーグやアマ野球などを担当しカメラマンも兼務。スポーツ歴は野球、陸上中長距離。170センチ、62キロ。血液型A。(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

大分対仙台 後半、先制ゴールを決める大分・渡辺(左)(共同)
大分対仙台 後半、先制ゴールを決める大分・渡辺(左)(共同)
渡辺新太
渡辺新太