「ジャンボ」の愛称で知られるFW大久保哲哉(41)が、神奈川県1部の3年連続得点王へまい進している。大久保は19年から、7部相当にあたるFIFTY CLUBでプロ契約選手としてプレー。39歳の1年目は18試合18得点で得点王。40歳の2年目が8試合9得点で得点王。41歳の今季は10試合8得点で、リーグ1位と1点差の2位だ。1位の選手は既に全試合を消化しており、19日の最終節・神奈川大戦でのタイトル争いとなった。大久保は「今季最後の試合なので、まず勝って終わりたい。3年連続のチャンスがあるのは自分だけ。やるからには取りたい」と意欲を見せる。

同じ名字でJ1で3年連続得点王に輝いたセレッソ大阪FW大久保嘉人(39)が今季限りの引退を発表したが、「ジャンボ大久保」は来季も現役を続ける意向だ。「やめることは簡単ですから。サッカーが好きだし。Jリーグ通算99点で、まだまだ100点の目標もあきらめてはないです」と、今もJ復帰の思いも揺らぐことはない。

県リーグとはいえ、結果を出し続けることは難しい。プロ契約の大久保に「絶対にやられたくない」と常に複数人のマークが付く。1試合に5本以上、シュートチャンスがあるわけではない。それでも、横浜GSFCコブラ戦ではハットトリックを達成するなど得点を積み重ねてきた。「シュートは打てて3本ぐらい。決定率はある方だと思う。1本への集中力は研ぎ澄まされてきたと思う」と40代にしての進化に手応えを感じている。

県1部リーグで、練習環境もJリーグほど恵まれてはいない。フットサル練習場を2面合わせて使用する日もある。練習も週3~4回で午後9時スタートだ。午前中は筋トレやケアに励む。また、指導者のA級ライセンスを持っており、練習の合間に、神奈川・三浦学苑サッカー部でコーチとして指導している。練習後のシュート練習はJリーグ時代からのルーティーン。フットサル場の練習では、ゴールを端に寄せ「今週は右からのクロスに合わせる練習」「今週は左」と工夫する。GKとクロスを挙げる若手選手も練習パートナーだ。大久保は「与えられた環境の中でやるしかない。シュート練習もサボると点は取れませんから」。シュート練習を終えると、日付が変わる時間になる。その努力が大久保の得点を支えている。

横浜FC在籍時、同期入団に横浜FCの早川知伸監督(44)もいた。周りが指導者になる年になっても、大久保は現役にこだわり、結果も残してきた。「自分がプロになったころ、30代は大ベテランのイメージでした。いざ、自分が30代になったとき、まだ全然やれると。さらに、サッカーがおもしろくなった。実際、30代で10点以上取れたシーズンもありましたし。体的にも大きなけががなくできたので。あんまり年齢的な衰えは感じない。この年でもまだまだ跳べるし(笑い)。僕の場合のバロメーターは跳べること。今も、相手のセンターバックの上からヘディング、いけますしね」。

40代になり、本人も驚く“再会”があった。関東2部昇格をかけた試合で、栃木のCASA FORTUNA OYAMAと対戦した。ハーフタイムに、栃木ユース出身の相手チームの選手から「ジャンボさん、あこがれでした。試合できてうれしいです」と声をかけられた「自分が栃木に在籍したのは7年前。その選手も20代半ばになっていて。声をかけられて、うれしかったですよ。やってきてよかったと」と振り返る。

試合には競り負け、関東2部昇格はならなかった。今季も残り1試合。得失点差で勝っても優勝は厳しい状況だが「得点王も優勝もあきらめていません。最後勝って、角野(隆)監督を胴上げしたい」。41歳のジャンボはまだまだ、バリバリの現役を続けそうだ。【岩田千代巳】