サッカー日本代表監督の後任候補は、前アルジェリア代表監督のバヒド・ハリルホジッチ氏(62=ボスニア・ヘルツェゴビナ)、ミチェル氏(51=スペイン)に絞られたことが22日、分かった。日本協会はこの日、都内で極秘に技術委員会を開き、現在フリーの監督を中心に人選を進める方向性を固め、両氏が浮上した。名前が挙がっていた元ローマ監督のルチアーノ・スパレッティ氏は前所属のゼニト(ロシア)、レクワイヤ(カタール)監督のミカエル・ラウドルップ氏は現クラブとの契約が残っており、交渉の長期化を予想。候補リストの優先順位が下がったとみられる。

 日本協会は、次期監督の候補を現時点で2人に絞った。午後7時前から、都内に技術委員が集結した。霜田正浩強化担当技術委員長を筆頭にした技術委員6人と、原博実専務理事を加えた7人の極秘会議は、午後8時30分に終了。約1時間半をかけて、次期日本代表監督の方向性を議論した。

 現在フリーの指導者を中心に交渉を進めることを確認。W杯ブラジル大会でアルジェリア代表を率いたハリルホジッチ氏、前オリンピアコス(ギリシャ)監督のミチェル氏に絞られた。2人は今月6日の技術委員会で挙がった、10人の候補リストにも名前があった。

 ハリルホジッチ氏は、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身。フランスのレンヌやパリサンジェルマンなどで実績を残すと、08年からコートジボワール代表監督に就任。ディナモザグレブ(クロアチア)を経て、11年からはアルジェリア代表を指揮。厳しい守備と鋭い速攻を植え付けた。昨年6月のW杯では1次リーグを2位で通過。決勝トーナメント1回戦では、優勝したドイツと延長戦にもつれ込む大激戦。1-2と敗れたが、最後まで王者を苦しめた。

 W杯4試合すべてでスタートの布陣が違うなど、相手によって戦術を変更したように柔軟なチーム作りが特長。加えて若手選手の発掘にも定評があり、W杯では当時19歳のMFベンタレブを抜てきし、ブレークさせた目は確かだ。

 ミチェル氏は現役時代にRマドリードで12シーズンも活躍。引退後に指導者となると、ヘタフェ、セビリアなどを指揮し、13年にオリンピアコスの監督となった。1年目で欧州チャンピオンズリーグ16強に導いた手腕は評価されたが、今年1月に解任されている。中盤から積極的な守備でボールを奪いにいき、シンプルにゴール前に運ぶ攻撃を掲げる。攻守両面で中盤を重要視するのは日本が目指すサッカーとも合致する。

 交渉を進める中で浮上したスパレッティ氏、ラウドルップ氏らは、前所属チームや現クラブとの契約が残っている。交渉が難航し、長期化した場合には再度浮上する可能性はあるが、現時点での優先順位は下がった。現マルセイユ(フランス)監督のビエルサ氏も同様の理由で優先順位は下がったという。現在フリーの指導者なら、ビザの関係で3月の親善試合2試合に間に合わなくても、来日した上でスタンド観戦などは可能だ。21日に帰国した霜田氏は近日中に再び渡欧し、条件面などの交渉をさらに進めることになる。

 ◆バヒド・ハリルホジッチ 1952年10月15日、旧ユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)のヤブラニカに生まれる。フランス1部ナントなどで活躍したFWで、ユーゴスラビア代表として15試合で8点を挙げた。選手としてデビューした地元のベレジュで指導者生活をスタートさせ、パリサンジェルマンではフランス杯制覇。リール時代には仏年間最優秀監督にも輝いた。08~10年にコートジボワール代表を率い、14年W杯ブラジル大会ではアルジェリア代表を16強に導いた。同胞のオシム元日本代表監督とも親交が深い。

 ◆ミチェル 本名ホセ・ミゲル・ゴンサレス・マルティン・デル・カルポ 1963年3月23日、スペインのマドリード生まれ。Rマドリードで404試合に出場して97得点を記録。スペイン代表でも66試合に出場し、21得点。05年からRバリェカノで指導者生活スタート。Rマドリードの下部組織で06年から08年まで監督を務め、09-10年シーズンからヘタフェの監督に就任。12-13年はセビリアで指揮。13年2月からギリシャの強豪オリンピアコスの監督に就任して、1年目で国内リーグとカップ戦の2冠に導いた。翌シーズンでリーグ戦2連覇を達成。15年1月に解任が発表され、現在はフリーとなっている。