全国民で団結を-。日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(65)が10日までに、W杯出場のかかる同アジア最終予選オーストラリア戦(31日、埼玉)を“国民的行事”と定義し、国民一丸での戦いを呼び掛けた。日本協会のSNSなどに動画メッセージをアップ。運命の一戦への熱い思いをほとばしらせた。

 8・31も10・8に続く、国民的行事だ-。94年に巨人長嶋監督はセ・リーグ優勝がかかった中日戦を「国民的行事」と言って制した。この歴史を知るはずもないが、ハリルホジッチ監督も8・31を「この試合はフットボールという試合だけにとどまらず、国民にとって威信をかけた、誇りをかけた戦いでもあるわけです」と表現。1億2600万人超の日本国民に呼び掛けた。

 14年W杯でアルジェリアを率いて躍進を遂げ、同国で英雄として迎えられた過去もあり、民衆の力を知る。海外組にけが人が続出し、ただでさえ難しい欧州のシーズン開幕直後の代表戦を前に頭を抱えている。「全国民で団結して、全ての力をプレーする11人に与えて欲しいのです」などと動画で語り掛けるメッセージは、原稿なしで収録し、一発OKだったという。

 すでにチケットは完売。メンバー発表も24日に決まった。「この試合に勝つために、チームの中と外にある全ての力を集結して団結することをフランス語で『ユニオン サクレ』と表現します」と新たなキーワードも打ち出してきた。

 これは20世紀初頭のフランスの歴史から派生し「国民の統合」を意味する言葉。就任以来、同様にフランス語の「デュエル(決闘)」「ナイーブ(ばか正直)」「マラン(ずる賢いプレー)」など決めゼリフ!? を提示してきたが、浸透度は微妙…。だが、勝ってW杯を決め「ユニオン サクレ」は、ハリルの歴史的名言にしたい。【八反誠】