その魅力的な決定力は、抜群の位置取りから生まれる。前節の磐田戦も一瞬の動きで相手DFの前に出て、水沼のクロスを右足でたたき込んだ。尹晶煥監督の下でセンターフォワードに固定され、磨いてきた技術。「ゴール前に入る、一瞬のところを意識してやっている」。練習での取り組みが結果に結びつく。

 ハートも熱い。J2の昨季は肋骨(ろっこつ)を折りながら、昇格がかかった正念場で試合に出続けた。この日も選出前の練習後に「(代表での)イメージとかコンビネーションとか、そんなこと言ってる場合じゃない。気持ちの部分が大事になる」と意気込んでいた。クラブでは、先輩にも遠慮なく自分の意見をぶつける熱血漢。熱い魂が、サムライの新たな血となって流れる。【実藤健一】

 ◆杉本健勇(すぎもと・けんゆう)1992年(平4)11月18日、大阪府生まれ。C大阪の下部組織で育ち、10年7月にプロ契約しトップ昇格。東京V-C大阪-川崎Fを経て昨季C大阪に復帰。12年ロンドン五輪日本代表。川崎F時代の15年5月に国内組の日本代表候補合宿に参加。187センチ、79キロ。今季は現時点でJ1得点ランク2位の14ゴール。