日本を6度目のW杯に導いたバヒド・ハリルホジッチ監督(65)。その長男バニオ・ハリルホジッチ氏(33)が日刊スポーツに独占メッセージを寄せた。幼少時代、ユーゴスラビア紛争でボスニア・ヘルツェゴビナの自宅を焼かれ、指導者としても浪人生活を余儀なくされた姿を見てきた愛息が、父親の異国での成功を祝福した。

父さん、予選突破おめでとう。アルジェリア(14年W杯ブラジル大会出場)に続く成功を日本でも収めたこと、本当に誇りに思います。フランスでは、ベンチで怒る姿が「レ・ギニョル」(人形劇形式で風刺する名物テレビ番組)のネタになるほど熱かったけど、日本でもそうだったのかな。

 昨年9月に僕がクロアチアで挙式した時、最終予選の合間に日本から戻ってスピーチしてくれたね。「ハリルホジッチ家の苦難の道のりを振り返れば、この結婚は本当に誇りだ」って。

 そう、二十数年前は本当に複雑な環境にあった。旧ユーゴ内戦で、すべてを失ったんだ。ボスニアの片田舎の農家に生まれた父さんはサッカーで財を成し、祖国のカフェ、レストラン、衣料品店に投資した。しかし、戦火が何もかも奪う。僕ら家族をパリに送り、単身赴任していた時だった。

 目の前で友人が死に、父さんも護身用の銃が暴発して負傷した、と聞いた。自宅も店舗も略奪と焼き打ちに遭った。幼い僕にも、あの時の父さんは完全に破滅しているように見えたよ。