【リエージュ(ベルギー)26日】日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(65)が選手の発言にくぎを刺した。ウクライナ戦の前日会見で「何か問題があれば、内部で解決するもの。外部への発言は良くない」とピシャリ。マリ戦後に選手から漏れた指揮官への不満めいた言葉を指摘したとみられ、選手にも通達した。W杯(ワールドカップ)で対戦するポーランドを仮想した一戦は、5月の予備登録(35人)前最後の試合。この段階で相手より身内の発言に過敏になっている。

 W杯まで3カ月を切った。ただ、ハリルホジッチ監督の意識は仮想ポーランドのウクライナより、身内に向いた。会見の約20分間、独演会のようにしゃべり続けたが、いら立っているような発言があった。

 チームが機能せず、引き分けが精いっぱいだった23日の仮想セネガルのマリ戦後、選手たちは素直に危機感を口にした。FW大迫は「縦に速い攻撃だけじゃ…」と課題を挙げ、DF長友も「今日の試合内容ではW杯で勝つのは厳しい」などと現実を見据えて言った。

 これらの発言が耳に入り、反応したようで「(メディアは)スキャンダル、話題を探していると思うが、代表とはどの国でも聖なるもの。何か問題があれば内部で解決するもの。外部への発言は良くない」。誰のどの発言を指すのかは不明だが、指揮官への不満めいた言葉と受け取めたとみられる。その後、冒頭のみ公開した前日練習で選手たちにも直接、くぎを刺した。

 就任当初から情報漏れには気を使い、選手にも繰り返し伝えている。ただ、今回は機密が漏れたわけでなく、W杯で勝ちたい素直な気持ち、危機感から出た言葉がほとんど。よほど余裕がないのか過敏になった。一方で「私の夢は銀座でパレードすること。チーム全員で銀座パレードできる日を楽しみにしている」とW杯での成功を願った。

 「皆さんは私の性格はご存じだろう。私は慢性的に不満を抱えている。常に勝利に飢えているからだ。他の人に対するプレッシャーかと思う人もいるだろうが、プレッシャーのないW杯なんてないんだ」。素直は素直なのだが、予備登録35人を選ぶ前最後の一戦でもこの状況。ハリルジャパン、大丈夫か。心配が募る。【八反誠】