1人目立つオレンジ色のスパイク。W杯ロシア大会以来の日本代表復帰を果たしたMF原口元気(27=ハノーバー)が「本職」で生き生きとしたプレーを見せた。「戦う部分は僕のベース。今日もそこはしっかりやれたと思います」。

激闘となったベルギー戦で先制ゴールを決めるなど、西野ジャパンで臨んだW杯ロシア大会では「右サイド」の印象を強く残した。だが、得意とする主戦場は「左サイド」。ハリルホジッチ元監督時代も主に左サイドハーフとして起用され、貢献してきた。指揮官が森保監督に変わった今、再び本職へと戻った。揺るがない信頼を与えられた。

新生日本代表では、サイドハーフは激戦のポジションとなった。MF中島翔哉(24=ポルティモネンセ)が左サイドで結果を残し続けており、右サイドでは東京五輪世代のMF堂安律(20=フローニンゲン)が急成長している。常に安泰な選手はいないポジションとなった。「前回、招集されなかったので、新しいスタート。競争は始まっているので、僕自身しっかりしたプレーをしなきゃいけないなと思って入った。(若手から)すごいパワーを感じますし『やってやるんだ』という気持ちを若い選手から感じられるので、僕らも負けていられない」。

その中で、攻守に渡る粘り強いアプローチ、惜しみない上下動はさすがだった。後半20分には倒れながらもMF伊東純也につないだパスで2点目を生んだ。同25分にはGKにはじかれたが、FKのこぼれ球を左サイドで拾うと、中へのカットインから強烈なシュートも放った。そして同40分には、それまでほとんど見せなかった長いドリブルで中央に切り込んでいくと、FW川又堅碁へスルーパス。これが駄目押しとなる3点目へとつながった。6人が出場した海外組の中で19歳のDF富安健洋と2人、フル出場を果たした。

「経験したモノもありますし、僕にしかできないモノもあると思っているので、常に100%でチームを助けられるプレーをしたい」。強烈なインパクトを残したわけではなかった。ただ“後輩”たちにいい刺激を受けたW杯以来の代表戦で、いぶし銀の輝きを放っていた。