19歳341日のDF冨安健洋(シントトロイデン)がフル出場でA代表デビューを果たした。10代デビューは12年のFW宮市亮(ザンクトパウリ)以来でセンターバック(CB)としては93年のJリーグ発足後初めて。DF槙野とのコンビで無失点に貢献した。「(試合前は)緊張かもわからないくらい頭がぼーっとした。不安だったけど体は動いた。ほっとした」と初々しく笑った。

試合開始の笛が鳴れば気後れはなかった。長身を投げ出し、クロスを次々とはね返す。中盤で出足鋭いプレスで相手のカウンターをつぶすと、そこからの反撃が南野の先制点につながった。一方で後半には1対1で突破を許してピンチを迎え、両手をたたいて悔しがる姿も。「1試合やっただけ。映像を見返して次に生かしたい」。収穫と反省の90分は濃密だった。

今年1月、10代でプレーの場をベルギーに移した。練習用具は自分で持ち運び、アウェーも当日移動が多い。日本は恵まれていたと痛感する環境で、パススピードも速い1つ上のレベルに身を置いた。英語を学びながら出番をつかみ、今季は10試合にフル出場。今回招集されている海外組の中で最もプレー時間が長い。「ベルギーでやれていなかったら、呼ばれていないと思う」。東京オリンピック(五輪)でも守備の要として期待される。

“20年東京組”ではMF堂安に続くA代表。「五輪世代の選手には、A代表を見据えてほしい」と常々口にする森保監督の思いに応える1人だ。同ポジションにはDF吉田主将らが君臨する。チーム最年少の背番号16が「ずっと映像で見てきた」と目標にしてきた存在は、これでライバルに変わった。【岡崎悠利】

◆冨安健洋(とみやす・たけひろ)1998年(平10)11月5日生まれ、福岡県出身。中学からJ2福岡の下部組織に入団。高2の15年5月に2種登録され、同年10月の天皇杯3回戦町田戦で公式戦デビュー。16年にトップチームに昇格し、17年のJ2第4節熊本戦でプロ初ゴールを記録。各世代別代表にも選出され、昨年5月のU-20W杯韓国大会にも出場。今年1月からシントトロイデンに移籍した。188センチ、78キロ。