森保ジャパンが危機に直面した。アジア杯UAE大会の日本代表FW大迫勇也(28=ブレーメン)が右臀部(でんぶ)痛を再発し、当地で行われた練習を回避した。

ホテルで別メニュー調整しているが、2日後に迫る1次リーグ第2戦オマーン戦への出場は微妙。9日の初戦トルクメニスタン戦(3-2)で2得点したエースの離脱となれば痛手。代えの利かない存在だけに戦術変更も余儀なくされそうだ。

オマーン戦に向けた全体練習の再開日に、大迫の姿がなかった。異変について日本協会の広報担当者は「右臀部の違和感」でトレーニング回避と説明。大会直前まで痛めていた箇所の再発とみられ、勝てば1次リーグ突破が決まる次戦の出場が微妙な状況になった。

昨年12月22日ライプチヒ戦で打撲し、痛みが長引いていた。年末の国内合宿から別メニュー調整を重ね、患部をアイシング。UAE入りした後の5日に行った練習試合も欠場し、6日の練習から完全合流したばかりだった。わずか3日間で合わせてトルクメニスタン戦に先発し、1点を追った後半11分から4分間で2ゴール。試合をひっくり返して白星発進に導いたが、大迫がいなければ結果はどう転んだか分からなかった。

それほど今の代表は、W杯ロシア大会でも主軸だった大迫に依存している。病み上がりでもフル出場を強いられた原因は、想定以上の苦戦にある。3-1とした後にPKで1点差に迫られ、相手に勢いが乗った状態でエースは下げられない。森保監督は試合後の会見で「大迫を最後まで引っ張った理由」を聞かれ「代えなければいけない理由はなかった」と答えたが、すぐ「コンディションの部分で別メニュー調整していたので。もう少し展開に余裕があれば代えていた」と認めていた。苦戦の代償として痛みがぶり返した。

状況は流動的だが、まだ大会序盤。最悪のケースの離脱を避けるため、オマーン戦は無理させないとみられる。開幕前には新10番のMF中島も負傷離脱。不動の1トップにも不運が重なった。柴崎は「出る選手によってアジャストは必要だけど総力戦で」。吉田主将も「ほかの選手にとっては大きなチャンス。つかまなければいけない」と代役の台頭に期待したが、苦境には立たされた。【木下淳】