「ドーハの悲劇」「ジョホールバルの歓喜」…。今回のワールドカップ(W杯)アジア最終予選は、どんな展開が待ち受けているのか。死闘が、今夜始まる。22年W杯カタール大会のアジア最終予選に挑む日本代表(FIFAランキング24位)が2日、オマーン代表(同79位)と大阪・パナソニックスタジアム吹田で初戦を迎える。

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フィールドプレーヤー最年長34歳のDF長友は「圧倒的な強さを見せつけたい」と言い切った。自身4度目となる最終予選。酸いも甘いも、体に刻まれる。「それだけの力があるチーム。自分たちが目標としているW杯ベスト8。最終予選は圧倒的ではないと、話にならない」と強い言葉で続けた。

DF酒井は前回大会のほろ苦さを思い返す。「あのお客さんの前でホームで逆転されて。今思い返すと、ありえない」。ハリルホジッチ監督が率いていたロシア大会の最終予選は、絶望的な状況からのスタートだった。

初戦のUAEに1-2で逆転負け。98年フランスW杯以降、過去5大会のアジア最終予選で初戦が黒星だったチームはすべて予選敗退に終わっていた。データ上は「W杯出場確率0%」からの船出。それでも、日本は最終的に6勝2敗2分けでグループの1位に返り咲き、本大会の切符をつかんだ。酒井は「スタートダッシュに乗ることが大事。前回はスタートに乗れなかった。前回以上に気を引き締めて」を糧に、今日のピッチに立つ。

ザッケローニ監督の14年ブラジルW杯の最終予選は5勝1敗2分けでグループ1位通過、岡田監督の10年南アフリカ大会の最終予選は4勝1敗3分けで2位通過、ジーコ監督の06年ドイツの最終予選は5勝1敗で1位通過した。

全勝はもちろんなかった。どの道のりも険しかった。02年は日韓開催。そして98年フランス大会ではイランに勝利し、初の本大会を獲得。「ジョホールバルの歓喜」である。

今回も、主力のMF南野、DF冨安、MF守田らが故障や移籍などの事情で、合流が遅れるなど、完璧なチーム状態ではない。ただ、それは今後も、何が起こるか分からない。森保監督は「勝つという結果を残せるチームになりたい」と言った。日本は強くなった。勝って当然の声も上がる。言い訳は出来ない戦いが始まる。【栗田尚樹】