パリ・オリンピック(五輪)アジア最終予選兼U-23アジア杯カタール大会準決勝イラク戦が、29日に行われる。監督として16年U-23アジア選手権(今大会の前身)で優勝し、リオデジャネイロ五輪の出場権を獲得した手倉森誠氏(56=タイ1部BGパトゥム監督)が28日、大岩剛監督(51)率いる日本にエールを送った。

    ◇    ◇    ◇

8年前も今回と同じ準決勝で、ドーハで、イラクに2-1で切符。現A代表主将の遠藤航ら「ドーハの悲劇」が起きた93年生まれの選手が多く「ドラマのような条件で歓喜へ歴史を塗り替えた。しびれたね。敗退していれば、W杯2大会連続(18、22年)16強から、次は8強、優勝をも目指すA代表の進歩を遅らせていたかもしれないし、自分も監督人生を懸けていた」という剣が峰から生還した。

6大会連続10度目。翌朝の日刊スポーツに「つないだ」の見出しが躍ったことが当時の期待値を物語る。11、13、15年のU-20ワールドカップ(W杯)を全て逃した「谷間の世代」を任され、諦めの声すら聞こえてきたが「“手ぶら森”にならなくて良かった(笑い)」。この大会を6戦全勝で制して見返した。

大岩監督の重圧は誰よりも分かる。勝って“天狗ら森”になるより「韓国に負けても教訓にすればいい。道は途切れていないんだから」。東京五輪4強の世代も、開催国枠を持っての出場だったため事なきを得たが、最終予選を兼ねた20年大会で1次リーグ最下位。「勝って当然はない」とした上で決戦を前に訴えた。

「この世代には、成長に必要な苦難が起こるべくして降りかかる。苦しんで突破してこそ伸びる。自分もそうだったけど、現地からは言えないと思うので、代弁したい。皆さん、信じましょう。国民の代表に『勝って当然』を押しつけるからには、これまでの『勝ったら手のひら返し』から卒業して、応援しましょう」【木下淳】

【U23日本代表】勝てば五輪切符!日本がイラクと対戦 U23アジア杯準決勝/ライブ速報>>