MF南野拓実(26=リバプール)が崖っぷちの日本を救う。ワールドカップアジア最終予選オマーン戦(16日、マスカット)に向けて日本代表は15日、現地で最終調整を行った。負ければ本戦出場が遠のく一戦で、勝利と得点は絶対条件。同予選5試合で4ゴールの得点者に南野の名前はない。感覚をつかみつつある背番号10が大一番で復活のゴールを誓った。

日本は2連勝で2位に勝ち点1まで迫ったとはいえ、危機的な状況は変わらない。1勝が本戦出場を大きく左右する。ゴールと勝利が必要な日本は、南野がゴールを決めるしかない。

南野には手応えがある。左サイドの感覚になじんできた。19年までは「プレースタイル的に一番ゴールを奪える」という4-2-3-1のトップ下。今年に入り左ウイング起用が増えた。2次予選では7戦連発と量産したゴールも、最終予選でパタリと止まった。それでも、試合ごとに試行錯誤を重ね、「今求められるのは、左からゴールに向かっていくこと。手応えもあるし、結果を残したい」と燃えている。

ポジティブな変化があった。10月のオーストラリア戦からフォーメーションが4-3-3に変わり、南野が中央に絞って左サイドバックの長友が高い位置をとる形が増えた。2人はオマーン入り後、何度も対話を重ねてきた。「互いの特徴が生きる。相手を押し込んで、自分がもっとゴールに近い位置でプレーするための1つの方法」と南野。トップ下の役割にも近づき、11日のベトナム戦では前線3枚が近い距離感で関わる「1つの理想」という得点も生まれた。

9月の最終予選初戦オマーン戦で、日本は強固な守備を崩せず0-1で敗れた。南野は招集されたものの、左太ももの違和感で欠場。ベンチから敗戦を見届け、力になれない悔しさを味わった。最終予選5試合を終えて、ここまで得点者はFW大迫、MF伊東、田中の3人のみ。短期間でも確実に磨きをかけた攻撃で、背番号10が得点力不足の日本を救う。【杉山理紗】