サッカーワールドカップ(W杯)アジア最終予選に臨む日本代表候補合宿が19日、千葉県内で行われ、昨季Jリーグでベストヤングプレーヤー賞に選ばれた19歳MF荒木遼太郎(鹿島)が代表デビューに向けて強い意気込みを示した。初招集の荒木は、同年代のMF久保建英(マジョルカ)への負けん気を口にし、メンバー生き残りへ「食らいつく」と誓った。

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荒木が思い描いていた世界があった。候補とはいえ、初めての日本代表。「フィジカルも、すべてにおいてレベルが高い」。目指してきた場所は球際の激しさもパススピードもひと味違う。「自分は挑戦者。慣れないところはあるが、持ち味をどんどん出したい」と高ぶる思いは抑えられない。

逸材ぞろいの01年度生まれ。同世代のトップランナーには久保がいる。強豪レアル・マドリードに認められ、マジョルカでプレーする久保に「正直、同世代なので負けたくない気持ちはある」と燃える心をのぞかせた。今季から鹿島の10番を背負うが貪欲な姿勢は変わらない。「プレーを見るのもいい刺激になる」。久保の存在が、自らをさらなる高みへと突き動かす。

昨季、10代では94年の城彰二以来となる2ケタ得点の10ゴール。オフの期間でシュートにはさらに磨きをかけた。「カーブだけでは読まれるし、GKが嫌だと思うので」と無回転や縦回転も習得。かつて久保が多彩なシュートについて「企業秘密」と話したように多くは語らず、ピッチで披露するチャンスをうかがう。

この日に行われたゲーム形式の練習では海外経験者のFW大迫とFW武藤、東京五輪に出場したMF相馬が主力組とみられるチームの前線に入り、荒木は相手側に回った。ここに久保ら海外組が加わるため最終予選のメンバー争いは激しいが「可能性が少しある。絶対にそこに食らいついていきたい」と力強く語った。国際親善試合ウズベキスタン戦が中止となった21日は練習試合が行われる見込み。「自分でボールを奪ってそのまま決めるとか、他とは違うものを見せないと選ばれない」と意気込む。

失うものはない。今持っているものをぶつけた先に、代表デビューの可能性が生まれる。【岡崎悠利】