伝統ある「日韓戦」で、父と同じ1歩を踏み出す。東アジアE-1選手権で活動中の日本代表MF水沼宏太(32=横浜)が26日、オンライン取材に対応。勝てば、優勝が決まる27日の韓国戦(豊田ス)に向けて、代表初ゴールを誓った。くしくも父貴史氏も、代表初得点は韓国戦。偉大な父に息子も続く。

水沼は、少し照れくさそうに言った。「父も国を背負って戦ってきた。息子として、父すごいなと」。しみじみ感じるのも、無理はなかった。父貴史氏の代表初得点は対韓国。代表初得点を目指す息子は、今日27日の韓国戦に先発濃厚。「巡り合わせというか。自分自身も結果を残したい。攻撃の選手なので、ゴールを目指して、いい結果がついてきたら」。

親子2代で韓国戦での代表初ゴールとなれば、史上初の出来事。父は当時24歳、5試合目で。32歳となった息子は、2試合目で決める。「(日韓戦は)特別なもの。いつもバチバチでやっている。日の丸を背負って、たたけることは幸せ」と、あの日の父同様に主役となる。

今から38年前のこと。1984年(昭59)9月30日。韓国・ソウルで行われた日韓定期戦。父は、決勝点となるボレーシュートを決め、鮮やかに代表初得点を挙げた。そこから5年5カ月。水沼家に誕生した宏太は、父の背中を追うように、サッカーを始め、父と同じ横浜でキャリアを重ね、19日香港戦で、日の丸デビューも飾った。あとはゴール。「代表に初めて呼ばれて、こんなに幸せなことだなと。W杯直前に選んでもらって、絶対に出たいと思いましたし、このチームで結果を残さないと先はない」。舞台は整った。【栗田尚樹】