来年1月1日の国際親善試合タイ戦(東京・国立競技場)に臨む日本代表に初選出されたMF伊藤涼太郎(25=シントトロイデン)がこのほど、単独インタビューに応じた。念願のA代表入りへの思い、今夏新潟から移籍した後の進化を語った。今日29日に帰国し、チームに合流する。

今季、大きな飛躍を遂げた。25歳にしてA代表に初挑戦する伊藤涼は、今夏までJ1新潟で17試合7得点4アシスト。ベルギーへステップアップした。その練習を終えた現地時間午後、さわやかな笑顔でオンライン取材の画面上に現れた。

「やはり(初選出は)素直にうれしかったですし、まあ、やっとだなと。ここからがスタートだなという気持ちになりました」

代表に選ばれるべく、海外移籍を決意した。今季のJリーグ前半戦では抜群の存在感を示し、主役の1人に。代表待望論が巻き起こった。本人も自覚しつつ、世界の5大リーグで活躍する選手が居並ぶ激戦区の2列目に割って入るため、海を渡る考えしかなかった。

移籍から約半年、進化を実感している。「スプリントの回数だったり、スピードだったり、走行距離は日本にいた時と全然違う」。後半で途中交代することもある中、平均で約11~12キロを走破した。90分当たりの走行距離はリーグ1位。オフ明け2日目に行うチームのスプリントトレで、走力に磨きがかかったという。

幼い頃、憧れたのは元ブラジル代表MFロナウジーニョ。創造性あふれるプレーで観客を魅了するファンタジスタだった。走行距離が必ずしもプレー強度や評価に直結するわけではないが、海外に行って自然と基準が上がった。「うまくて走れる」選手に変貌した自負がある。「現代サッカーは強度がすごく大事。でも自分が選ばれた理由は強度の部分じゃない。アイデアだったり、攻撃のクオリティーのところ」と自身の才は忘れずに成長している。

自身が最も輝くのはトップ下と信じている。注目される史上初の元日A代表戦でデビューが期待される中で「普段サッカーを見ない人にも大好きな少年にも『もう1回、伊藤涼太郎を見たい』と思わせるようなプレーをしたい」。年始あいさつ代わりのインパクトを残してみせる。【佐藤成】

◆伊藤涼太郎(いとう・りょうたろう) 1998年(平10)2月6日、大阪市生まれ。岡山・作陽高から16年に浦和入り。17、18年はJ2水戸、19年は大分、20年は浦和、21年は水戸でプレー。22年にJ2新潟へ完全移籍で加入し、プロ初の全42試合出場で9得点。J1昇格に貢献した。U-15~19の世代別代表。175センチ、69キロ。利き足は右。

タイ戦の日本代表メンバー