女子日本代表なでしこジャパンが、パリ五輪(オリンピック)出場権を懸けて北朝鮮と対戦する。2戦合計で争う第1戦のキックオフは、現地の午後4時4分(日本時間同10時4分)。FIFAランキングは日本が8位で北朝鮮が9位と近接しており、勝者が花の都へ大きく前進する。

今回の最終予選は、ホームアンドアウェーの一騎打ちで切符の行方を決める方式。第1戦は当初、平壌の金日成競技場で開催される予定だったが、試合運営に関する準備面で不透明な点が多く、アジア・サッカー連盟(AFC)から中立地開催を提案されていた。

しかしその後も代替地が決まらず、正式文書も届いていない段階で合宿地の日本を離れ、中東へ向かう異例のスケジュール。日本サッカー協会(JFA)の佐々木則夫女子委員長(65)も「モヤモヤした状況」と本音を隠せない。AFCからは「19日午前に中国開催案がなくなり、サウジアラビア開催で準備をするように」連絡を受けた。

そこからビザや20日の出国を手配。キックオフ時間も会場も未定のまま21日にジッダへ入り、試合3日前にようやく詳細が正式発表されるなど混迷を極めた。イタリアから帰国後、即出国のDF熊谷紗希主将(ローマ)は「こんなこと、あってはならない」と憤り、背番号10のMF長野風花(リバプール)ら一部選手も英国で待機後、なでしこジャパンが今まで1度も試合をしたことがないサウジアラビアで合流するという展開になっていた。

北朝鮮も2日前の22日にジッダ入り。相変わらず怖い存在だ。昨秋、国際舞台へ5年ぶりに復帰したばかり。16年のU-17、20W杯で育成年代の世界2冠を達成した後、新型コロナ禍を理由に18年ジャカルタ・アジア大会以降は表舞台から姿を消していた。

23年9月の同杭州大会に突如参戦。決勝で、なでしこジャパンではない若手主体の女子日本代表に1-4で敗れたが、FWキム・キョンヨンが大会6戦12発で得点女王に輝いた。翌10月からのパリ五輪アジア2次予選では韓国、中国と同居したB組を2勝1分けで首位通過した。

日本との対戦成績は12勝5分け7敗で、アジアでは唯一勝ち越している。現在は黄金世代が20代の中盤から後半に差しかかっているが、近年のデータに乏しい謎の集団。FIFAランクこそ1差だが、中国での事前合宿で練習試合を3戦ほどこなすなど調整は順調とみられ、不気味さを増している。

日本から約9600キロ離れた紅海沿岸での「日朝戦」。騒動の後に迎える結果やいかに。第2戦は28日に東京・国立競技場で。2戦合計の勝者がパリ切符を獲得する。