日本サッカー協会(JFA)は22日、W杯アジア2次予選北朝鮮戦の2戦目(26日)を待っていた日本代表が、チームを解散すると発表した。

既に敵地の平壌開催は消滅していたが、試合まで中止に。延期や没収試合など今後の取り扱いは国際サッカー連盟(FIFA)に委ねられる。没収の裁定が下った場合は、規約で3-0の不戦勝となって4連勝。戦わずして今年9月開幕の最終予選進出が決定する異例の事態となる。

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先例なき途中解散となった。26日の北朝鮮-日本戦に向けて再始動した日、アジア・サッカー連盟(AFC)からJFAが受けた通達は「当初の予定通り平壌もしくは中立地で開催されない」決定だった。試合の取り扱いはFIFAの担当委員会に付託され、判断を待つしかない。森保ジャパンが「22日をもって活動を終了する」ことだけ前倒しで決まった。国内外から選手を集めながら、前例のない解散に追い込まれた。

北朝鮮の、突拍子もない要求に振り回された。ホーム戦当日の21日朝、平壌開催不可の情報が田嶋会長に報告された。AFCからの続報を待ちつつ、経由の北京渡航便、北京-平壌のチャーター機、中国で査証取得までに使う練習場のキャンセルなど並行。渡航キャンセル後も、国内滞在延長に伴って宿泊先の移動を余儀なくされ、一部のスタッフは選手と同じホテルに泊まることができなかった。

覆された決定。北朝鮮は今月上旬にAFCの視察団を受け入れ、支障なしと判断され、平壌開催が11日に発表された。ところが、北朝鮮側が日本で流行する「「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」を致死率30%超の「悪性伝染病」と警戒。AFCに往来禁止を求めた。「できぬ」の一点張りで代替案には回答しなかった。

2月の女子日本代表なでしこジャパンも、パリ五輪アジア最終予選の第1戦が当初は平壌だったが、サウジアラビア・ジッダへ。物議を醸したが、それでも試合3日前には開催が決まった。男子に至っては中止。日本にとっては前代未聞だった。しかも中立地開催という案だけは残っていたため無用の対応を迫られた。

森保監督は「所属クラブでタフなシーズンを送っている中、招集に応じてくれた選手たち」に感謝した。事実、スペインから呼んだ久保や1年3カ月ぶり復帰の長友ら9選手の起用機会なし。喪失感の中、今後はFIFAから別日開催を指示される可能性を残すが、W杯2次予選は6月が開催期限。没収試合となることが予想される。その場合、規定で3-0の不戦勝となって4連勝。極めて異例の形で2次予選突破も決まる結末となった。【佐藤成】

◆前回W杯予選の北朝鮮 22年カタール大会アジア2次予選の出場を途中辞退した。H組で5試合を消化して2勝2分け1敗。21年6月に韓国で残り3試合を実施する予定だったが「新型コロナウイルスに対する憂慮」を理由に不参加。韓国とは19年10月に首都平壌で対戦して0-0だった。FIFAの裁定で北朝鮮の試合結果は無効になった。